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Road to 2020
2019.05.07

アサヒビールが2020に向けて「555ml」のジョッキを提案する理由とは

白越崇之

 東京2020オリンピック・パラリンピック大会(以下、東京2020大会)を機に、ビール市場の活性化を目指すアサヒビール株式会社。そのために、現在同社が提案に力を入れているのは、標準的な中ジョッキよりも少し大きい「555ml」という容量の新ジョッキだ。そこには、自社だけでなく、消費者、料飲店、酒販店を巻き込んでムーブメントを醸成していこうという周到な戦略があるという。

 そうした東京2020大会に向けたマーケティング戦略について、同社 東京2020オリンピック・パラリンピック本部企画室 担当課長の白越崇之氏に語ってもらった。

【アサヒビール株式会社】

 アサヒビール株式会社は、総合酒類メーカーとして、ビールをはじめチューハイや、焼酎、ワイン、ウイスキー、梅酒、ノンアルコール飲料などを展開。東京2020大会においては、ビールメーカーで唯一の国内最高水準のスポンサーであるゴールドパートナーとなっている。

 

東京2020大会で目指す“ビールを飲まない層”へのアプローチ

――アサヒビールは2015年に東京2020大会のゴールドパートナー(ビール&ワイン)に決定しました。

 東京2020ゴールドパートナーは、東京2020スポンサーシッププログラムで国内最高水準のパートナーとして位置付けられています。私どもは、「ビール&ワイン」カテゴリーで公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会とパートナーシップ契約を結びました。

 ビールは、ノンアルコールビールも含むビール類全般の権利となっています。例えば、ビールの場合は、当社の主力製品であるスーパードライを「東京2020オフィシャルビール」として訴求することができ、そのメリットは大きいと期待しています。

――パートナーとしてオリンピックをサポートするのは、何度目になるのでしょうか。

 当社は、2009年以降、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)のゴールドパートナーとして、第21回オリンピック冬季競技大会(2010/バンクーバー)、第30回オリンピック競技大会(2012/ロンドン)、第22回オリンピック冬季競技大会(2014/ソチ)、と3つの大会において、日本代表選手団や大会出場を目指すアスリートを支援してきました。※

 具体的にはそれぞれの大会において、専用商品の発売や販促活動、広告宣伝やイベントを通じて、応援のメッセージを伝えてきました。そして2015年1月からは、「東京2020ゴールドパートナー(ビール&ワイン)」として東京2020大会の成功、およびオリンピック・パラリンピック日本代表選手団の活躍を応援してまいりました。

※リオデジャネイロ2016オリンピック・パラリンピック競技大会からは、JOCのゴールドパートナーに加えて、公益財団法人日本パラリンピック委員会(JPC)のゴールドパートナーとしても日本代表選手団をサポート

――東京2020大会のゴールドパートナーについては、どのような狙いがあるのでしょうか。

 いま日本の酒類業界を取り巻く環境は決して楽なものではありません。ビール類でいうと、人口減少や嗜好の多様化が進む中で、課題は多いと感じています。

 ただ、そんな環境の中でも、消費者の方に大きなご支持をいただいている「スーパードライ」というブランドがあります。

 東京2020大会をきっかけに、普段あまりビールを飲まない若い方や女性の方、さらには日本を訪れる外国人観光客の方々に広く認知していただき、ひいては他のアサヒビール製品についても魅力を届ける機会にしたいと考えています。

 

新サイズのジョッキは“三方よし”で普及拡大を狙う

――東京2020大会のゴールドパートナーとして、どのようなコンセプトでマーケティング活動を展開されているのでしょうか。

 当社のキーワードは、「スーパードライとともに乾杯」と「最高のおもてなしを」です。

「スーパードライとともに乾杯」には、お酒のメーカーらしく、「カンパイ!」を通して、東京2020大会に貢献、応援していきたいという願いがあります。「カンパイ!」というテーマは、リオデジャネイロ2016オリンピック・パラリンピック(以下、リオ2016大会)大会でも、マーケティング活動の核となったものです。

 東京2020大会では、「スーパードライとともに乾杯」した結果として、世界からいらっしゃるたくさんのお客様とともに、感動や興奮を味わえる「最高のおもてなし」を実現できたらと考えています。

――その1つが、生ビール用ジョッキ「555ジョッキ」の展開ですね。 

 2018年1月から、東京2020大会のエンブレムが入った「555ジョッキ」を、料飲店さんにご提案しています。昨年の12月末までに約50,000店で採用していただきました。

 「555ジョッキ」は、オリンピックシンボルの「5つの輪」の「5」と、東京2020大会で行われる競技数「55」を合わせて、容量が“555ミリリットル”の特製ジョッキです。料飲店さんで最も多く使われているのは、360ミリリットル前後の中ジョッキですが、「555ジョッキ」はその約1.5倍の容量になります。

 この東京2020大会のエンブレムの入った特製ジョッキで乾杯していただくことで、東京2020大会へのムーブメント醸成に貢献できると考えています。

 

――「555ジョッキ」のメリットは何ですか。… 続きを読む… 続きを読む

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白越崇之(しらこし たかゆき)
アサヒビール株式会社 東京2020オリンピック・パラリンピック本部 企画室担当課長。宣伝部在籍中の2012年、ロンドンオリンピック2012大会のマーケティングに関わって以来、現在まで、様々な形でオリンピック・パラリンピック関連業務に携わる。東京2020大会では、主に料飲店向けの「業務用」分野で、ビールを中心とした販売促進や商品企画を担当する。

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