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Road to 2020
2019.02.20

オリンピックのスペシャリストが語る「共感」を生むためのこだわり

コカ・コーラ社

 90年にわたってオリンピックをサポートし、スポーツ分野におけるマーケティングのパイオニアとして名高いコカ・コーラ社。東京オリンピックでも、その盛り上がりをスポンサーの一員として支えています。長年スポーツマーケティングに携わり、現在日本コカ・コーラで、聖火リレーの責任者を務める渡邉和史氏に、スポーツが生む「共感」をテコに、巧みなマーケティングを展開する同社の戦略について伺いました。

【日本コカ・コーラ株式会社】

 ザ コカ・コーラ カンパニーは、ジョージア州アトランタに本社を構える清涼飲料水メーカー。日本法人は、日本コカ・コーラ株式会社。コカ・コーラ社は、1928年のアムステルダム大会以来、オリンピックのワールドワイドパートナーを務めており、企業としては最長の90年間の歴史を誇る。2020年の東京オリンピックでも、ワールドワイドパートナーをはじめ、東京2020聖火リレープレゼンティングパートナー、東京2020パラリンピックゴールドパートナーの契約を結んでいる

――オリンピックとコカ・コーラ社との間にはどのような歴史があるのでしょうか

 コカ・コーラ社は、1928年のアムステルダム大会からオリンピックをサポートさせていただいています。当時、1,000ケースのコカ・コーラを船に積んで、オリンピック米国代表選手団と共にアムステルダムへ送ったという記録が残っています。

 それ以降90年にわたって、オリンピック大会を支援してきました。現在、IOC(国際オリンピック委員会)と直接契約する「ワールドワイドオリンピックパートナー」は当社も含めて13社あります。Webサイトなどでは、パートナーの名前がアルファベットの順番に並ぶのですが、その中で当社をいつも筆頭に挙げていただくなど、オリンピックとコカ・コーラ社には深い関係性があります。

 東京オリンピックでは、後述する「オリンピック聖火リレープレゼンティングパートナー」や、「東京2020パラリンピックゴールドパートナー」としても関わることが決定しました。

 

成長というドラマが「共感」の輪を拡げる

――オリンピックとの90年の間にマーケティング分野で培ったものとは何でしょうか

「共感」をベースにした、消費者との豊かなコミュニケーションです。スポーツには、シナリオもありませんし、時に想像を絶するすばらしいドラマが待ち受けています。人々は、そこに他では味わえない興奮と感動を覚え、共感が芽生えます。その共感の輪に、コカ・コーラ社というブランドが寄り添っている構図を長年作ってきました。

 例えば、オリンピックでもサッカーのFIFAワールドカップでも、コカ・コーラ社のテレビCMはすべて、観客が主役です。決して選手ではありません。応援している国や選手が勝ってハッピーな時や、負けてしまいハッピーになりたい時など、観客(=消費者)に「コークを飲みたい」と思ってもらう。この共感をベースにしたコミュニケーションを、毎回新しい手法を使って繰り返し訴えてきたのが、コカ・コーラ社のマーケティングなのです。

――具体的に共感を生む新しい手法とは

 最近では、平昌2018冬季オリンピックで日本人選手がメダルを獲得した直後に、綾瀬はるかさんが登場し、「すごい! メダルおめでとうございます」とメッセージするなど、各競技の結果と連動して一緒に喜ぶテレビCMを展開しました。

 また、東京メトロの新宿駅構内に、大会中に盛り上がったシーンを氷の像で再現する、「#コーク氷のハイライト」という、リアルタイムのプロモーションも手がけました。みんながスポーツに感動する瞬間に、タイムリーに共感できるコンテンツを提供することが大事だと思います。

――スポンサー契約を結ぶアスリートにも、共感を生むためのこだわりがあるそうですが

 はい。弊社はいま8名のアスリートとスポンサー契約を結んでいますが、まだあまり名前が知られていない、将来が楽しみな選手がほとんどです。ダイレクトな訴求力という点では、実績がある著名なアスリートを起用した方がいいのでしょうが、私たちは若手アスリートの成長ドラマにこそ、誰もが共感してくれる要素があると考えています。

 それは、アスリートとしての将来性だけではありません。例えば、… 続きを読む… 続きを読む

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渡邉和史(わたなべ かずふみ)
アメリカで生まれ育ち、大学は日本の上智大学を卒業後、博報堂に入社。トヨタ自動車の営業担当として、リベルタドーレス杯の運営や同社キャンペーンなどを担う。2000年にFIFA Marketing AGに転職。2002年FIFA World Cupを経験。2004年には博報堂DYメディアパートナーズへの転職を経て、2011年に日本コカ・コーラに入社。アクエリアスブランドのスポーツマーケティングやFIFA World Cupのキャンペーンやスポーツ/エンターテインメントの交渉窓口、コミュニケーションプロデュースを手掛けたのち、現在はコカ・コーラ社オリンピックチームにて主にオリンピック聖火リレー統括する。

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