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なぜリブラは嫌われたのか? Facebookの貢献と誤算
2019.11.12

ブロックチェーンと仮想通貨の今第2回

なぜリブラは嫌われたのか? Facebookの貢献と誤算

著者 浦上 早苗

 2019年、仮想通貨・ブロックチェーン業界の主役は、グローバルデジタル通貨「Libra(リブラ)」プロジェクトを発表したFacebookだった。

 しかし、期待がピークだったのは発表時で、その後は各国の政府や規制当局から激しい反発を受け、当初予定していた「2020年のローンチ」は、後ろ倒しが必至の情勢となっている。とはいえ、同社の取り組みが、金融業界、通貨システムに激震を与え、デジタル通貨を一気に身近な存在とした側面もある。

 リブラは何を変えようとして、どのような反発を招いてしまったのか? そして、リブラのローンチが先送りになったことで、仮想通貨市場はどのようになっていくのだろうか? 

 

Facebookは「冬の時代」の救世主だった

「2018年は仮想通貨・ブロックチェーン業界の冬だった」
少なくとも、日本の関係者はそう口をそろえる。

 2017年、世界最大級の仮想通貨マーケットだった中国が、仮想通貨とICO(企業が仮想通貨を発行し、資金を得る手法のこと。Initial Coin Offeringの略)を全面禁止。続く2018年1月、日本では仮想通貨取引所「コインチェック」で約580億円相当の仮想通貨流出が発生し、規制が一気に強化。仮想通貨・ブロックチェーンを手掛ける企業の多くが、事業の見直しや凍結を迫られた。

 ブロックチェーン技術は金融以外のさまざまな分野で応用の可能性があり、長期的に有望な市場であることは変わらない。ただ、業界イメージが悪化したことで、事業を行っている企業にとっては、2018年は試練の年であったのは間違いない。

 冬の1年を経て、2019年に入ると国外から変化の兆候が現れ始めた。海外の大手企業が独自の暗号通貨を開発する、というニュースが複数報じられたのだ。その中で最も注目されたのが、世界に24~27億人のユーザーを持つと言われるFacebookだった。

 

リブラは価値が安定、国際送金や決済にも使える

 6月18日(以下、米東部時間)、Facebookはグローバルデジタル通貨・リブラの計画を正式に発表した。大まかな内容は、以下のようなものだ。

【枠組み】
・Facebookがリブラを推進する金融子会社「Calibra(カリブラ)」を設立。カリブラを含む企業連合体「リブラ協会」が、リブラの運営を行う。
・リブラ協会本部はジュネーブに置かれ、VisaやMastercard、Uberなど創設メンバー28社でスタート。ローンチまでに100社体制に増やす。
・2020年前半のローンチを目指す。

【デジタル通貨の詳細】
・リブラは、米ドル、ユーロ、日本円、シンガポールドル、英ポンドに裏付けられ、安定した交換価値を持つ(値動きが激しく、投機的要素が強いビットコインなどの仮想通貨とはこの点が大きく異なる)
・メッセンジャーなどFacebookのエコシステム内で、国際送金や商品・サービスの購入など、「価値の交換」に使うことを想定している。

【目的】
・銀行口座を持たない人でも、金融サービスを利用できるようにする「金融包摂」(Financial Inclusion)の実現。

 

トランプ大統領「リブラには安定性も信頼性もない」

 誰もが知るグローバル企業であるFacebookが、ブロックチェーン・仮想通貨分野に参画すれば、市場の安心感が高まり、規模が拡大する。そんな期待を背に、ビットコインをはじめとする仮想通貨価格は、計画公表の1カ月以上前から上昇を始めた。

 2018年12月に1ビットコインあたり35万円台まで下落したビットコインは、2019年春から急上昇。ローンチ2日前の6月16日に、1年1か月ぶりに100万円を突破し、6月26日には150万台目前に迫った。

 だが宴は長く続かず、7月17日には再び100万円を割り込んでしまった。

 リブラプロジェクト発表後、真っ先に反対を表明したのは、… 続きを読む… 続きを読む

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浦上 早苗

浦上 早苗

海外書き人クラブ所属、中国経済ライター

1998年から2010年まで西日本新聞社記者。その後中国政府奨学金を受け博士留学(専門は経営学)。中国・大連の少数民族向け国立大学で教員。中国経済ニュース、米国経済ニュースの翻訳の他、中国経済関連記事を執筆。法政大学MBA兼任教員。

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