2019年12月1日より、改正道路交通法が施行された。携帯電話等を保持して使用することなどに関して、罰則が強化され、話題となっている。
かたや“自動運転装置”を適切に使用する場合には「適用されない」とする改正法案も、2019年5月に衆議院で可決されている。こちらは2020年5月23日までに施行される予定だ。
このように、自動車を取り巻く環境は、CASE(※)に総称される「自動運転」や「コネクテッド」への変革が徐々に進み始めている。背景にあるのは、インターネットの普及や、電動化するための蓄電池の技術向上など、イノベーションが牽引する環境の変化だ。当然そこには、安全性や経済性の要求などによるものも含まれる。
ただ、これは正解の半分でしかない。実は同じくらい、自動車業界に大きな影響を与えるものが存在する。
もう半分の答えとは、一体何か。それを知るためには、2015年に遡る必要がある。
(※)CASE……Connected(インターネットへの接続), Autonomous(自動運転), Shared/Service(シェアリング、またはサービス), Electric(電動化) の頭文字を取った造語。独ダイムラー社が2016年に提唱した。
世界へのコミット
2015年、国連に加盟する193カ国すべてによって 、SDGs (国連の持続可能な開発目標)が採択された。
SDGsでは、2030年までに気候変動対策や格差是正など国際社会に共通する17の目標を掲げ、民間企業が課題解決を担う主体として達成することを目指している。
17目標の中には、「エネルギー(7)」や「気候変動(13)」といった自動車とも関わりの深いキーワードが掲げられている。※括弧内数字は目標内で記載されている項番
また、同じく2015年にはパリにて COP21(国連気候変動枠組条約 第21回締約国会議)が開催された。ここでは、CO2削減を目的とした「パリ協定」が締結している。
日本政府は、この協定のもと、2030年に27.6%のCO2削減(2013年比)を目標として掲げ、トヨタ自動車では2050年に90%のCO2削減(2010年比)をコミットした。官民それぞれが高い目標を掲げた形だ。
ところが、これらの大胆な目標は、… 続きを読む