人工知能(AI)が進化することで2020年代を通じてホワイトカラーの仕事の多くが消滅していくと言われています。これまでの連載でもお話ししたようなRPA(Robotic Process Automation)が普及すると、いわゆるデスクワークの仕事は省力化されて、オフィスでパソコンに向かってする仕事は激減すると予想されます。
またナレッジワーカーと呼ばれる高度な専門家の仕事もAIにとって得意な領域です。資格制度がありますから弁護士や会計士といった士業の業務全般はなくならないにせよ、その給与水準が大きく引き下がるのではないかと危惧されています。
では本格的なAI時代がきてもなくならない仕事は何なのでしょう。今回はそのような仕事のことを考えてみたいと思います。
コミュニケーション力を必要とする仕事はなくならない
現在話題になっている、機械学習にすぐれたAIは、専門型の人工知能と呼ばれています。この専門型のAIは一定の領域の専門知識を学習するのは得意なのですが、絶対的に苦手なことがあります。
それが、人間と同じようにさまざまな情報を集めながら思考することです。専門領域を超えた知識で考え、判断する仕事。これは少なくとも2020年代に普及する、現在のコンピュータ技術の延長線上にあるAIには難しいと言われています。
言い換えると“他人とコミュニケーションをしながら人を動かす仕事”は、当面の間はAIにはできないのです。具体的にはリーダーや管理職、経営者として社員を動かす仕事は2020年代に入って消滅せず、かつ会社の中では依然重要で不可欠な仕事ということになります。
同時に、弁護士や会計士といった専門家の仕事でも、法律や会計の専門実務はAIに大きく置き換わったとしても、顧客へのアドバイスといったコミュニケーション力が重要なコンサルティング業務の側面はなくなることはありません。
医者でも弁護士でも、その専門知識が買われるのではなく、どのように顧客と接するかが問われるように、仕事の中身が変わります。
ですから、まず重要なことは、専門家の仕事でも一般のホワイトカラーの仕事でも、他人とコミュニケーションをするスキルを磨いておくことです。この土俵で勝負をするかぎり、AIが普及してきたとしても、仕事を追われるリスクは小さくなるでしょう。
フィールドワークが重要な仕事はなくならない
コミュニケーションと同時にAIがもうひとつ苦手なことは「フィールドワーク」です。つまり、頭脳労働の中でも、フットワークが重要な仕事はなかなかAIに置き換わることはありません。
たとえば… 続きを読む