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AIで消滅するのは「仕事」ではなく「○○」である
2019.01.24

AIの進化で「職場」はどう変わっていくのか?第1回

AIで消滅するのは「仕事」ではなく「○○」である

著者 鈴木貴博

 人工知能(AI)の進化でこれから15年先までの間に日本人の仕事の49%がAIにとってかわられるという予測があります。これは2014年にオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が約700種の業種を分析して問題提起したものです。

 一方で私たちの身の回りで「AIのせいで失業した」という人はまだほとんど見かけません。AI失業は本当に起きるのでしょうか。起きるとしたらいつごろ、どのような形で起きるのでしょうか。近未来を予測してみましょう。

 

2022年に登場する自動運転車のインパクト

 近い将来に突然、非常に多くの労働者に失業の危機が訪れるであろう最初のできごとは「完全自動運転車の出現」だと言われています。レベル5と呼ばれる「人が運転しなくても一般道をAIが完全に自律運転を行う」自動車が2022年頃に市販されるようになることでその事態が社会問題になるのです。

 休日に家族サービスで車を運転する方などは「そうなればゆっくり休めて楽になるな」とお考えでしょうが、この変化は車の運転を主な仕事としている人にとっては大きな脅威です。

 具体的には長距離トラックのドライバー、路線バスやタクシーの運転手といった仕事は自動運転車が登場したらその必要がなくなってしまいます。このインパクトは日本全体で123万人分の仕事がAIによって消滅することを意味します。

 そのときにいったいどのようなことが起きるのでしょうか。労働政策に詳しい方の話を伺うと、どうやら皮肉な未来が待っていそうです。

「123万人分もの失業が突然起きたら、必ず政治家と官僚はそれを止めにかかる。決して123万人のAI失業は起こしません」

 つまり、政府は仕事がなくならないように法律を制定するというのです。簡単に言えば“完全自動運転の長距離トラックには必ず運転管理者がひとり乗務しなければならない”と法律で決めてしまえばいいのです。そうすれば技術によって123万人分の仕事が消滅しても、法律によって123万人分の仕事が誕生することになります。

 今、運輸業は少子高齢化の求人難で困っています。しかし、車を運転せずにただ運転席に座っていればいいということになればどうでしょう。長距離トラックの運転管理者の仕事は、スマホゲームや旅行好きの若者にとって人気の職業になるのではないでしょうか。

 

AIは何を消滅させるのか?

 この自動運転車の事例のように、今、進化の途中にあるAIは“車を運転する”というような、ある専門領域についての人間の仕事を覚えることが得意です。ですから専門家の仕事はこれから先、常に消滅の危機にあります。

 たとえば… 続きを読む… 続きを読む

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鈴木貴博

鈴木貴博

百年コンサルティング株式会社代表取締役

経営戦略コンサルタント。東京大学工学部卒。ボストンコンサルティンググループ等を経て2003年に独立。過去20年にわたり大手人材企業のコンサルティングプロジェクトに従事。人工知能がもたらす「仕事消滅」の問題と関わるようになる。経済評論家としてメディアなど多方面で活動している。

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