1月8~11日、ネバダ州ラスベガス市で、世界最大の家電ショー「CES 2019」が行われました。

 前回は注目のテクノロジーを中心に紹介しましたが、今回は他のメディアがあまり伝えていない情報を、担当者へのインタビューを交えてお伝えしたいと思います。大企業がイノベーションを進める上で参考になる内容もありますので、ぜひ参考にしてください。

 

1. CESが支援する日本企業のイノベーション

 ホンダ社はここ数年、他の日系自動車メーカーと同じようにCESに大きなブースを構えている。ただ、ホンダ社は他の日系自動車メーカーと比べて異彩を放っている。

 ホンダ社はいち早くシリコンバレーにスタートアップと協業するためにHSVL(Honda Silicon Valley Lab)と作るとともに、Xccelraterというプログラムも立ち上げた。また、ホンダ社はCES 2017では日系自動車メーカーとしては珍しく、自社のブースでプレス発表を行った。CES 2019ではVehicle-to-Grid(自動車と電力系統との間で電力融通を行うこと)の発表について招待を受けていたのでホンダ社のブースを訪れたところ、思いがけないお土産をもらった。それが、ホンダ社が開発中の技術と地方自治体との連携だ。

 具体的には、山火事の時に消防団員が身につける装備を、ホンダ社が開発している自動運転バギーで運ぶというものだ。ホンダ社の広報担当者によると、きっかけはCES 2018に自動運転バギーカーを出展したことだ。コロラド州の消防士がCES 2018でホンダ社の自動運転バギーカーを見つけ、CES 2018終了後にホンダ社に「CES 2018で出展していた自動運転バギーカーを山火事の消火活動に使えないか?」と相談したことが連携の始まりだそうだ。

 そこから両者で装備を運ぶためのカーゴのデザインなどの議論や走行テストが始まった。トレーニングを積み屈強な身体の消防団員からは「そんなバギーカーは必要ない!」という声もあったそうだが、実際に使ってみると「これはいいね、とっても楽だよ。」という風に消防団員の反応が変わっていったという。

「自動運転バギーカーを導入する目的は消防団員の負担を減らすことだったが、思わぬ副産物もあった。」と説明してくれたのは、消防団側でこのプロジェクトをリードしているGarrett Seddonさん。足元が不安定な山の中を重たい装備を背負って歩くと、足の捻挫などの怪我をする消防団員が出ていたそうだが、自動運転バギーカーが重たい装備を運んでくれるため、消防団員が足を怪我する割合が減ったそうだ。

 実際には今年の山火事が鎮火した後に、木々が黒焦げになったコロラド州ライフル市近くの山火事現場で自動運転バギーカーを使ったそうだが、効果は絶大だったそうだ。「この取り組みは始まったばかりなので、これからも続けていくよ。」とGarrettさんは嬉しそうに話してくれた。

 

2. 日本企業のクラウドファンディング活用術

 CES 2019は日本企業にとって大きな試金石になるかもしれない。昨年までは、「Japan Paviliton」は、フランス、イスラエル、韓国などの「International Pavilion」と比べると見劣りしていた。ところが今年は日本の企業、スタートアップを応援しようという機運が高まっていて、J StartupとJapan Techという2つのPavilionが設けられていた。両Pavilionには世耕弘成経済産業大臣も応援に駆けつけた。

 Japan Techの中に… 続きを読む

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小室 智昭

小室 智昭

大手通信会社でBox社などのシリコンバレーのスタートアップとの協業を推進する傍ら、シリコンバレーなどの北米の尖ったサービス、製品を日本に紹介している。

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