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米国企業はAWSをどのように使っているのか?
2019.01.04

シリコンバレー通信第5回

米国企業はAWSをどのように使っているのか?

著者 小室 智昭

 気がつけば、2018年のカレンダーも2019年に代わってしまいました。2018年の残務や、新年のお客様挨拶で忙しいと思いますが、そんな時のアイスブレークとして、シリコンバレー通信をご活用ください。

 今回は、クラウドの祭典「re:Invent 2018」が開催されたので、Amazon社に関する内容をお届けします。Keynote(基調講演)での新サービス発表が盛り沢山だったため、いつもより長文になっていますが、ご容赦ください。

 

Amazon Goは未来のコンビニの形か?

 シリコンバレー通信の第1回目で紹介したように、10月24日にサンフランシスコ市でシアトル市、シカゴ市に続く3都市目、6店舗目となるAmazon Goが営業を始めた。すでにメディアでも報道されているが、Amazon Goでの買い物を体験してきたので報告する。

 まずAmazon Goを利用するにはAmazon Goのモバイルアプリと米国で利用できるAmazonのアカウントが必要になる。Amazon GoのモバイルアプリはApp Store、Google Playなどからダウンロードできる。モバイルアプリをインストールしてアカウントの設定が完了すると、Amazon Goのモバイルアプリのトップページに二次元バーコードが表示される。この二次元バーコードは30秒ごとに更新されるようだ。設定が完了すると、入店の方法や店舗内での品物の受け渡しの禁止など、Amazon Goの利用方法について表示される。

 サンフランシスコ市のAmazon Goの店舗の入り口には電車の改札機のようなゲートが4台並んでいる。このゲートには二次元バーコードリーダーがついていて、来店者はAmazon Goのモバイルアプリに表示された二次元バーコードをそのゲートにかざして、ゲートの左側を通って店舗の中に入っていく。

 店舗の天井には死角を無くすように無数のカメラ、センサーが設置されている。天井に設置されたカメラはRGBカメラと深度カメラと思われるが、詳細は公表されていない。シアトル市の1号店開店時には商品棚の奥にもカメラが設置されていたようだが、サンフランシスコ市の店舗には商品棚の奥にはカメラが設置されていなかった。

 私の知人に“Amazon Goの達人”がいるのだが、彼に聞いたところ、シアトル市の店舗も、今では商品棚の奥のカメラは撤去されたそうだ。また、カメラの数は開店当初の1号店と比べるとかなり減っていると教えてくれた。きっと、これまでのオペレーションの経験値とカメラ、センサーの進化によるものだろう。

 そこで、どのくらいの精度でトラッキングができるのか実験してみた。買い物袋で天井のカメラ・センサーから手元が見えないようにして、袋入りのチョコレートを2〜3個掴んでカメラ・センサーにうつらないように買い物袋の中に入れたり、板チョコを隣の棚から手を伸ばして複数枚掴んでカメラ・センサーに映らないように買い物袋の中に入れたりしてみたが、きちんと清算されていた。

 板チョコが置かれている棚にはスライダーがついていて、そのスライダーに距離を計測できるセンサーがついているという噂が流れていたが、今回の実験ではそのセンサーの存在は確認できなかった。また、一度手にした商品を別の棚に返した場合は清算されていなかった。

 清算は店舗を出てから10分程度するとAmazon Goのモバイルアプリにレシートが送られてきて完了する。なので、今回の実験では、清算を確定させるために、何度も店舗を出たり入ったりした。店舗の外ではAmazon Goのモバイルアプリをじっとみている人が何人かいたので、きっと彼らも実験をしていたのだろう。

 商品の品揃えはかなり充実している。野菜、デリ(惣菜)、デザート、乳製品、朝食、調味料、食器、おつまみ、お菓子、コーヒ/お茶、お酒、冷凍食品、アイスクリームなどが店舗内に所狭しと並べられている。これだけの品揃えがあれば、日々の生活に必要なものはAmazon Goで調達できる。

 Amazon Goを”無人店舗”と紹介している日本のメディアもあるが、完全に無人化されているわけではない。店舗内に交代で5人程度の店員が商品の整理、返品の対応をしている。Amazon Goカラーのオレンジのジャケットを着ているのでよく目立つ。ゲートの外に出る前であれば、いつでも棚に商品を戻すことができるが、ゲートの外に出た後に商品を返品するには、今のところ店員に対応してもらうしか方法がない。

 私がAmazon Goを訪ねた時間は13:00ごろ。店舗の中はかなり混雑していたので、店舗の外で案内をしていたGeorgeさんに「いつもこんなに混んでいるの?」と聞いたら、「ピークは11:30-14:00と17:00ごろかな。それ以外の時間帯は比較的空いているよ。」と教えてくれた。

 

Cloudの祭典、re:Invent 2018にみるAWS社の実力

 今年で7回目を迎える「re:Invent」。今年もCloudの祭典にふさわしい賑わいをみせていた。日本のJ旅行代理店によると、J旅行代理店が企画したツアーだけで900人以上の応募があり、日本からは2,000人以上が参加したそうだ。そういえば、SFO(サンフランシスコ国際空港)からLAS(ラスベガスのマッカラン国際空港)へのフライトのほとんどの乗客が、日本からの乗り継ぎ客だった。

 re: Invent 2018ではAgriculture(農業)、Automotive(自動車)、Finance(金融)、Healthcare(医療)、Media(メディア)、Oil & Gas(エネルギー)、Transportation & Logistics(運送業)など32の業界、48のトピックスにわたって2,100以上のセッションが開催された。その半分以上のセッションで、実際にAWSを利用しているユーザーから直に導入事例が紹介される。AWS社の事前調査によると、その中でも参加者の関心が高い分野はサーバーレス、セキュリティ、機械学習、データベース、エンタープライズ、アナリティクス、ハイブリッドクラウド、ブロックチェーンだそうだ。

 ここでは、毎年注目されるCEO Keynote(基調講演)と、会期中に紹介されたケーススタディと会場の様子について報告する。

 

「想像できる全ての業界でAWSが採用されている」

 re:Inventではさまざまなセッション、ワークショップなどが開催されるが、一番の目玉は、AWS社のCEOのAndy JassyさんのKeynoteだろう。毎年、3時間を使って新サービス、新しいパートナー、新しいケーススタディなどを紹介する。ここでは、AndyさんのKeynoteの様子と面白かったセッションについて報告する。

 Keynoteの冒頭でAndyさんは、AWSの業績について報告した。2017年Q3から2018年Q3のAWSの収益は… 続きを読む… 続きを読む

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小室 智昭

小室 智昭

大手通信会社でBox社などのシリコンバレーのスタートアップとの協業を推進する傍ら、シリコンバレーなどの北米の尖ったサービス、製品を日本に紹介している。

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