今回は在米イスラエル領事館からの招待で、テルアビブで開催されたHLS&Cyberというカンファレンスに参加してきましたので、セキュリティを中心にスタートアップを紹介します。

 

 テルアビブでEVが大流行

 セキュリティの話をする前に、アイスブレーク的にテルアビブ市内のEV(Electric Vehicle)の話をしたい。EVといっても電動自動車ではなく、電動自転車、電動キックボードだ。

 サンフランシスコ市も自転車やキックボードの利用者が多い都市だが、テルアビブはその比ではない。街を歩いていると歩道に設けられたバイクレーンをものすごい勢いで自転車、キックボードが通り過ぎていく。しかもその大半は電動だ。

 日本では道路交通法の関係で、アシスト型の電気自転車しか許されていないが、テルアビブでは今のところ取り締まりはない。だから、誰も自転車のペダルを漕いでいないし、地面をキックしていない。

 テルアビブの市内は、道路は常に渋滞、公共交通機関もあまり便利ではない。さらに車を駐めるスペースも少ないという背景があり、以前から自転車、キックボードが市民の足としてよく利用されていたらしいが、数年前から電動自転車、電動キックボードが普及し始め、気がついたらほとんが電動になったようだ。

 だが、”大きな課題を抱えている”と、ドキュメントセキュリティサービスを提供しているReSec社のCEOのTalさんはいう。「電動自転車や電動キックボードに乗るには免許はいらない、規制もない、保険もない。歩道と自転車道が分離されているとはいえ、事故が多発している。」と話してくれた。しかも、手軽さゆえに信号待ちをしている車の間をスルスルと通り抜けていくから、自動車を運転していても怖いそうだ。なかには時速30kmの制限時速以上のスピードが出るように電動自転車、電動キックボードを改造する者もいるらしい。

 電動自転車、電動キックボードのほとんどが個人所有だが、Birdなどのライドシェア型サービスのものも見かける。Birdのオペレーションはサンフランシスコ市内などの米国のサービスと同じようだ。社員が街中に分散している電動キックボードを回収するオペレーションも米国と一緒だ。ただ、普及率の点で台数が少なかったり、充電がされていなかったりとサービス品質面では改善の余地はある。

 それ以前に、利用者教育をする必要があるだろう。電動自転車、電動キックボードの横暴に見かねて、テルアビブ市は2018年10月14日に新ルールを発表した。新ルールでは、電動自転車、電動キックボードに乗るためには運転免許証が必要となる。運転免許証がない者は短期間の講習を受けて運転許可証の取得を義務づける。また、ヘルメットの着用と夜間には視認性の良いベストの着用を義務づけ、違反者には1,000シェケル(米国ドルで約275$、約3万円)の罰金を科すとしている。この新ルールは2019年1月1日から施行される。

 さきほど少し触れたライドシェア型サービスだが、テルアビブでもUberが利用できる。ただ、Uberよりも、Gettというテルアビブ発のサービスを利用する人が多いそうだ。ちょっと前まではUberもGettも空港での利用が規制されていたようだが、最近規制が緩和されて、空港でも利用できるようになった。

 Gettが米国のUber社やLyft社と違うのは、… 続きを読む

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小室 智昭

小室 智昭

大手通信会社でBox社などのシリコンバレーのスタートアップとの協業を推進する傍ら、シリコンバレーなどの北米の尖ったサービス、製品を日本に紹介している。

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