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スノーデン氏も登場、2千社超のスタートアップが集結「Web Summit」レポート
2019.12.02

シリコンバレー通信第21回

スノーデン氏も登場、2千社超のスタートアップが集結「Web Summit」レポート

著者 小室 智昭

 欧米では秋のカンファレンスシーズン真っ最中です。世界の各地で世界中から大勢の人が集まるカンファレンスが開催されています。今回は、シリコンバレー通信第16回で報告した「Collision」の姉妹カンファレンスの「Web Summit」に関して報告します。

 

1.Web Summit概要

 Web Summitは、2009年にアイルランドの首都のダブリン市で始まったカンファレンスで、多くのスタートアップ、企業が、新たなビジネス創造の機会を求めてやってくる。2016年から会場をポルトガルのリスボン市に場所を移した。

 ヨーロッパ各都市は、大規模なカンファレンスの誘致に躍起になっている。例えば、バルセロナ市ではMWC(Mobile World Congress)、パリではVivaTech、ヘルシンキ市ではSlushが開催されている。リスボン市は治安がよく、物価も安い環境をいかして、スタートアップや企業を世界中から呼び込むことに力を入れている。その力の入れようは、ポルトガルの大統領のMarcelo Rebelo de Sousa(マルセロ・レベロ・デ・ソウザ)さんが閉会式に登場することを見ても分かる。

 さて、Web Summit 2019は11月4日から11月7日に開催され、会期中には、展示のほか、ピッチイベント、セッション、基調講演、パネルが分刻みのスケジュールで行われた。最近では、政府のスタートアップ支援機関や大企業がスタートアップ支援のために、展示スペースを提供したり、大企業が自社のイノベーション活動をアピールする場としても活用している。

 参加していたスタートアップのサービス内容はさまざまで、AutoTech(オートテック、自動車技術とITを組み合わせたテクノロジー)、フィンテック、サプライチェーン、eコマース、エンタープライズなど25のカテゴリーのスタートアップが集まっていた。スタートアップによる展示は3日間日替わりで行われ、約2,100社のスタートアップが展示を行なった。

 EU-Startups社の発表によると、Web Summit 2019には、1,200人以上のスピーカー、163ヶ国から1,100人のCEOを含む70,469人(46.3%が女性参加者)が参加した。展示会場には200社以上のパートナー企業も出展していた。また、参加者の中には、1,200者以上の投資家も含まれていたそうだ。

 

2. 基調講演

 Web Summitの見どころの一つに芸能人、アスリート、政治家など著名人の基調講演がある。ここでは、個人的に印象に残ったEdward Snowden(エドワード・スノーデン)さん、Michael Krastsios(マイケル・クラッツィオス)さんの基調講演について紹介する。

 

2.1. Edward Snowden(元CIA職員)

 元CIA(Centrαl Intelligence Agency)職員で、2013年にNSA(National Security Agent)の機密情報をリークし、ロシアに亡命中のEdward Snowdenさんがビデオ会議で登壇。データの考え方について話をした。

 Snowdenさんは、講演の中で「多くの企業がデータを集めているが、データ自身は無害でデータを扱う人間に問題がある。」と語った。また、最後に「インターネットはグローバルだから、法律や技術だけではあなたを守れない。私たちだけが自分を守れる。」というメッセージで講演を締めくくった。

 

2.2. Michael Kratsios(CTO of United States)

 アメリカ合衆国のCTOのMichael Kratsiosさんの講演のテーマは、”Perspective from The White House(ホワイトハウスからの展望)”。アメリカ合衆国がどのような技術に注力しているのかを聞くために集まった参加者も多いだろう。

 Michaelさんは、技術の話をする前に、アメリカ合衆国がイノベーションの中心地であり、大学、民間企業、政府の連携に支えられたアメリカ合衆国のエコシステムは、先進的な技術開発の可能性の扉を開けることができると自信をのぞかせた。

 技術的な話については、量子コンピューター、AI、5Gを上げた。とりわけAIについては、アメリカ合衆国も加盟しているOECD(Organisation for Economic Co-operation and Development; 経済協力開発機構)において、”経済”、”セキュリティ”、”生活の質”のために欠かせない技術となっていると紹介した。量子コンピューターについては、化学と材料の分野での活用、5Gについては遠隔手術などの革新的な医療、より安全な自動運転の実現に向けた活用に期待していると語った。

 講演の途中、Michaelさんは、AIの研究開発にしのぎを削っている中国について、「中国は… 続きを読む… 続きを読む

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小室 智昭

小室 智昭

大手通信会社でBox社などのシリコンバレーのスタートアップとの協業を推進する傍ら、シリコンバレーなどの北米の尖ったサービス、製品を日本に紹介している。

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