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日本企業も注目、イスラエル発の「モビリティ」スタートアップ
2019.11.08

シリコンバレー通信第20回

日本企業も注目、イスラエル発の「モビリティ」スタートアップ

著者 小室 智昭

 近年注目が高まっているモビリティにおいて、重要なカンファレンスである「Smart Mobility Summit 2019」(以降、Smart Mobility 2019)が、10月28〜29日にイスラエルのテルアビブ市で開催されました。

 Smart Mobility 2019は今年で7回目の開催になり、自動車業界に関するカンファレンスとしては、6月にテルアビブ市で開催された「EcoMotion」に次いで大きなカンファレンスです。会場では日本の自動車関係者を多く見かけ、イスラエルのスタートアップに対する注目度の高さを感じました。

 今回のシリコンバレー通信は、Smart Mobility 2019で出会った将来が楽しみなスタートアップと、Smart Mobility 2019に先駆けて打ち合わせをした、あるヘルスケアデバイスを開発しているスタートアップについて紹介したいと思います。

 

1. 医療機器レベルのヘルスケアデバイスを開発しているBioBeat社

 BioBeat社は、腕時計型ヘルスケアデバイス(以降、Watch)、およびパッチ型ヘルスケアデバイス(以降、Patch)を開発している、テルアビブに本社を構えるスタートアップだ。

 BioBeat社の本社は、テルアビブ市の中心地のMuseum Tower23階にある。訪問したところ、同社のManager, Business DevelopmentのOri Levyさんは、WatchとPatchを身につけて迎えてくれた。

 Oriさんは、不動産業を対象にした投資会社「Gindi Investments 1 Ltd.」社のCo-Founder(共同設立者)でもある。Oriさんは、打ち合わせを始める前に、会議室の窓から、眼下で進行中の都市開発プロジェクトを教えてくれた。

 BioBeat社のデバイスは、血圧、平均動脈圧、心拍数、呼吸数、発汗、睡眠品質など18種類の生態情報を測定できる。また、特許を取得したPPG(PhotoPlethysmoGraphy: 心臓運動分析機能)は、ノイズを除去し、正確な生態データの計測、異常の検知を可能としている。

 BioBeat社は、Watchは継続的に健康状態を測定するためのデバイス、Patchは定期検診など、一時的に健康状態を測定するためのデバイスという位置づけで開発している。Watch、Patchともにデータは、Wi-Fi、BLE(Bluetooth Low Energy)、携帯網、RF(無線周波数)を介してクラウド(AWS)に送られ、アプリでリアルタイムに測定データを確認できるようになっている。

 Watchは繰り返し充電ができ、継続的に健康状態を測定できるが、Patchは充電ができない使い捨て。Watchは一回のフル充電で3日間まで連続使用できるが、Patchの使用可能期間は5日間。Patchは、肌に装着するパッチと専用クリップで装着して使用する。Watchは、長期の在宅介護、慢性疾患患者の監視、介護が必要な方の監視での利用を想定している。一方のPatchは、入院から在宅治療への移行観察、短期の在宅医療、患者の術後の経過観察での利用を想定している。

 測定結果は医師、医療機関、家族と共有できる。医師や医療機関向けには、複数の患者の情報を複数同時に表示できる機能も提供している。

 BioBeat社のビジネスモデルはB2Bモデルで、プロジェクト単位でデバイスを提供している。Watchは一台$1,500(約16万円)。Patchの値段はプロジェクトの規模次第だそうだが、センサー部分は$100(約1万円)、肌につけるパッチは$0.20(約20円)。パッチは耐水性が高くないので、シャワーを浴びるたびに取り替える必要があるようだ。

 すでに一部の企業では導入が進んでいる。たとえばBritish Airways社では、イスラエルのBen Gurion Airport(ベン・グリオン国際空港)とイギリスのHeathrow Airport(ヒースロー空港)を結ぶ航路において、乗客の健康状態をリアルタイムに測定する実証実験を実施したそうだ。他にもIAG(The International Aviation Group)、GE Healthcare社、日本の保険会社など、多くの大企業が実証実験を行なった。このような実績を考えると、BioBeat社はモビリティ業界との関係も深くなりそうだ。

 BioBeat社は2014年に設立されたスタートアップで、$5M(500万ドル、約5億4千万円)の資金を調達しているが、実ビジネスがうまくいっているせいか、追加の資金調達の必要性を今は感じていないようだ。

2. Smart Mobility Summit 2019で出会ったStartup

 イスラエルは、セキュリティの分野に注目が集まりがちだが、モビリティの分野にも優れたスタートアップが多数存在する。

 例えば、Google社が$1.1B(11億ドル、約1,195億円)で買収したWaze社、Intel社が$15M(1,500万ドル、約16億3千万円)で買収したMobileye社もイスラエル出身のスタートアップだ。

 ここからは、今年で7回目の開催となったSmart Mobility 2019で出会った、将来が楽しみなStartupを紹介する。

 

2.1.無線信号をキャッチして歩行者、自動車の安全運行を目指すAD Knight社

 米国のAAA社は2019年10月に、自動運転に関する、ある実験結果を発表した。それによると、自動運転の4回の走行実験において、自動車が30mph(時速30マイル、時速約48 kmに相当)で近づいている場合には、道路を横断中の歩行者との事故発生確率は75%、20mph(時速約32 km)で近づいている場合には、子供の歩行者との事故発生確率は89%、歩行者が横断中に、自動車が右折した場合の事故発生確率は… 続きを読む… 続きを読む

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小室 智昭

小室 智昭

大手通信会社でBox社などのシリコンバレーのスタートアップとの協業を推進する傍ら、シリコンバレーなどの北米の尖ったサービス、製品を日本に紹介している。

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