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「疑似肉」がアメリカで承認。広告連動型ナビゲーションアプリも登場
2019.08.15

シリコンバレー通信第18回

「疑似肉」がアメリカで承認。広告連動型ナビゲーションアプリも登場

著者 小室 智昭

 7月末、私の家から車で40分くらい南に行ったギルロイ市で開催されているGarlic Festivalで乱射事件がありました。

 Garlic Festivalは、多くの日本人が訪れるくらい人気のフェスティバルで、当日は多くの方が参加していたと聞きます。そんなニュースを見ると、「ここは銃社会アメリカなんだ」と改めて思い知らされます。知人の中にはセキュリティゲートがないイベントには参加しないようにしている人もいます。気をつけようはありませんが「行きたい」という気持ちを抑えることも時には大切です。

 今回は、シリコンバレーで見つけた、マーケットトレンド、C向けサービス、B向けサービスと、バラエティに富んだ新ビジネスを紹介します。

 

1.疑似肉を提供しているImpossible Foods社がFDAの承認を取得

 CES 2019のMedia DayでCESデビューしたImpossible Foods社が、ついに米国FDA(Food and Drug Administration; アメリカ食品医薬品局)の承認を得た。

 Impossible Foods社は、植物由来の原料から作った食品「疑似肉(人工肉)」を開発する企業。同社はFDAの承認を得るまでは、疑似肉を限られたレストランやファストフード店にしか提供できなかった。そのため、シリコンバレー近辺でも、Umami BurgerThe Counterなどのハンバーガーレストランや一部のレストランでしか、Impossible Burger(同社の疑似肉を用いたハンバーガー)を食べることができなかった。

 その後、Impossible Foods社は、大手ハンバーガーチェーンのBurger King社と提携。Burger King社は、2019年1月からセントルイス地区で実験的にImpossible Whopper(Impossible Foods社の疑似肉を使ったBurger Kingのハンバーガーの商品名)の発売を開始した。

 Burger King社は1月の時点で、Impossible Burgerの全米展開を発表していたが、8月2日に「8月8日から全米の約7,000店舗でImpossible Whopperの提供を開始する。」と改めて発表した。ただ、Burger King社の全店舗でImpossible Whopperを提供するわけではないようだ。自宅の近所にBurger King社の店舗が3店舗あるのだが、8月8日の時点では、そのうちの1店舗ではImpossible Whopperは提供されない。

 Impossible Foods社はFDAの承認を受け、スーパーマーケットでも疑似肉を販売することができるようになった。また、Impossible Foods社はイスラム教徒の人たちも食べられるという証明の”Halal Certification”も2018年12月に取得している。そのため、同社の今後の急成長は容易に想像できる。

 疑似肉においては、Impossible Foods社のライバルのBeyond Meat社は、ハンバーガーチェーンのCarl’s Jr.社と提携して全米の1,000店舗以上で、疑似肉を使ったハンバーガーを提供している。

 Burger King社はImpossible Whopperの全米展開を記念して、8月8日から9月1日の期間、出前の請負会社であるDoorDash社と連携して$7.00(約740円)でImpossible Whopperを無料配送する。

 ちなみに、Forbes社の記者に教えてもらったのだが、Impossible Foods社のCOOのRachel Konradさんは、かつて日産ルノーでグローバルマーケティングのヘッドを務め、カルロスゴーンさんの右腕といわれた人物。CES 2019のMedia Dayでは、Rachelさんがイベントをホストしていた。

 

2. ユニークな広告モデルでサービス拡大を目指す歩行者向けナビゲーションアプリ

 旅行やちょっとしたお出かけに便利なのが、スマートフォンのナビゲーションアプリ。仕事で初めてお客様を訪問するときに使っているという人もいるだろう。米国では、自動車に据え付け型のナビゲーションシステムより、ポータブル型ナビゲーションシステムやスマートフォンのナビゲーションアプリがよく使われている。

 私の周りでは、自動車で移動するときには、Google Maps、Wazeがよく使われている。Google Mapsは、自動車以外にも公共交通機関、徒歩、(米国だけだが)自転車に対応しているので利用者は多いと思われる。

 Wazeは、自動車での移動をターゲットにしたナビゲーションアプリで、Lyft/Uberのドライバーにも人気だ。どちらも無料で利用することができるが、ある意味それが市場参入障壁となっているかもしれない。人気のアプリが無料で利用できるため、ナビゲーションアプリを提供するスタートアップは、マネタイズに苦労している。

 Waze社もGoogle社に買収されるまでの道のりは険しかった。Waze社は先月、オンデマンド駐車場サービスを提供しているSpotHero社と提携するなど、新たな市場発掘に余念がない。

 Walc社はそんなナビゲーションアプリのマネタイズに悩んでいるスタートアップにとって一点の光明になるかもしれない。

 Walc社は徒歩で移動する人をターゲットにしたナビゲーションアプリ。使い方は、スマートフォンアプリ(以降、Walc)を立ち上げて、行き先を検索して、ナビゲーションを開始するだけ。ここまでは、他社のナビゲーションアプリと全く変わらない。

 違いはこの後だ。… 続きを読む… 続きを読む

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小室 智昭

小室 智昭

大手通信会社でBox社などのシリコンバレーのスタートアップとの協業を推進する傍ら、シリコンバレーなどの北米の尖ったサービス、製品を日本に紹介している。

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