Bizコンパス

自然素材のストローに、霧から水を作る装置も登場。「Collision」イベントレポート
2019.07.08

シリコンバレー通信第16回

自然素材のストローに、霧から水を作る装置も登場。「Collision」イベントレポート

著者 小室 智昭

 5月21日から24日の間、先進的なサービス、アプリを開発しているスタートアップが世界中から集まる「Web Summit」の北米版である「Collision」が、カナダのトロントで開催されました。今回のシリコンバレー通信では、このイベントに関する情報を共有します。

 この記事に興味を持った人がいましたら、ぜひWeb Summitにも参加してみてください。今年のWeb Summitは、11月にポルトガルのリスボンで開催されます。

 

1. Collision 2019概要

 2009年にアイルランドのダブリン市で産声をあげたWeb Summitは、世界の各地で活躍しているスタートアップが集まるスタートアップの祭典と呼ばれており、2016年以降はポルトガルのリスボン市で開催されている。その北米版という位置付けで毎年開催されているのがCollisionだ。

 昨年までは米国のルイジアナ州ニューオリンズ市で開催されていたが、2019年、2020年はカナダのトロント市で開催される。Collision 2019 Torontoでは、23のカテゴリーでセッション、ピッチ、展示が行われ、125ヶ国以上から25,000人以上が参加した。

2. Breakout Startups

 Breakout Startupsというピッチ・コンペティションが、Kickstarter社のSunil Sharmaさんのホストで行われた。Sunilさんの説明では、Breakout Starupsには応募があったスタートアップの中から60社が参加する。その中から14社がセミファイナリストとして選ばれる。さらに、20人の審査員が14社から3社のファイナリストを選ぶ。そして、最終日にはCollision 2019参加者と審査員の投票で優勝者が選ばれる。

 優勝者は、Breakout Startups PitchのスポンサーであるEngieer.AI社から、プロダクト開発のための$30,000(約300万円)の目録と、$5,000(約50万円)の現金を手にする。惜しくも優勝を逃した2社には、やはりEngieer.AI社から、プロダクト開発のための$10,000(約100万円)の目録が渡される。スタートアップにとって賞金は重要だが、「Collision 2019のBreakout Startupsで優勝した」という功績は、お金以上の価値を生むだろう。ここで、3社のファイナリストを紹介する。

2.1. Loliware社

 最近、日本でも話題になっているプラスチック製のストロー。米国では、地方自治体によるプラスチック製ストロー使用の禁止により、大手コーヒー店やファーストフード店がプラスチック製ストローの使用を止めるなど、プラスチック製ストロー廃止の動きが広がっている。しかし、代替えとなっている紙製ストローは、長時間使っているとフニャフニャになるなど課題も多い。

 そんな海洋汚染の課題と紙製ストローの課題を解決しようとしているのがLoliware社だ。Loliware社は、海藻などの自然由来の素材を生かしたストローを開発している。Loliware社のストローは、18時間の連続使用が可能なレベルまで品質を高めており、Coca-Cola社などと実証実験を繰り返している。

 同社のビジネスモデルはライセンスモデルで、ストローの製造業社に開発ノウハウをライセンスする。Collision 2019のBreakout Startupsの優勝者はLoliware社だ。

2.2. Korapay社

 Korapay社は、アフリカ市場をターゲットにしたオンライン送金サービスを提供しているトロント市に本社があるスタートアップ。登壇したKorapay社のCEOのDickson Nsoforさんは、「Korapay社の送金サービスは、他社の送金サービスよりも安く、早く送金できる」と説明した。

ナイジェリアは世界でも6番目に送金サービスの利用者が多い国だが、既存の送金サービスはサービスの利用を躊躇するくらい手数料が高いそうだ。そこで、Korapay社は、既存の高い送金手数料と送金にかかる時間を短縮することを目的とし、まずは同国向けの送金サービスの提供を始めた。

一般的に、アフリカは”最後のフロンティア”と言われるくらい潜在的には大きな市場であり、アフリカ市場をターゲットにしたモバイルサービス、ファイナンスサービスが数多く登場している。

2.3. Spero Foods社

 Spero Foods社は、植物由来の素材を用いて、防腐剤、人工着色料などを用いない食材を提供しているスタートアップ。同社が提供する食材には、私たちが必要なビタミンやミネラルを豊富に含み、市場に出回っている食材と比べて90倍以上も多く抗酸化成分が含まれている。グルテン、乳製品、大豆などの成分は用いていないため、厳格な菜食主義者でも口にできる。

 同社は、チーズのような風味や食感を持った食材やオムレツの下地となる食材を提供している。Spero Foods社のブースでは、チーズのような食材の「Chevre」をクラッカーにのせた試食会と、オムレツの下地となる「Scramblit」の試食会が行われていた。

 ChevreとScramblitを試食してみたが、… 続きを読む… 続きを読む

続きを読むには会員登録が必要です

小室 智昭

小室 智昭

大手通信会社でBox社などのシリコンバレーのスタートアップとの協業を推進する傍ら、シリコンバレーなどの北米の尖ったサービス、製品を日本に紹介している。

関連キーワード

SHARE

関連記事

有識者が語る「ディープラーニングのビジネス活用のリアル」

2019.06.28

「Deep Learning Lab 2周年記念イベント」レポート

有識者が語る「ディープラーニングのビジネス活用のリアル」

東南アジアのベンチャー企業が日本のピッチイベントに参加する理由とは

2019.03.06

新たなイノベーションはアジアから始まる第2回

東南アジアのベンチャー企業が日本のピッチイベントに参加する理由とは

フォーティネットに聞く、2019年版サイバー攻撃の防ぎ方

2019.05.17

セキュリティ対策に求められる新たな視点第5回

フォーティネットに聞く、2019年版サイバー攻撃の防ぎ方