2014年9月、iPhone6の発売日に日本やオーストラリア、アメリカのアップルショップに列をなす中国人“転売ヤー”が話題になった。当時は中国での発売日がこれらの国より1カ月ほど遅く、新機種を周囲より早く手に入れたい中国人は、定価より高いお金を払うことを厭わなかった。
あれから5年。中国でもiPhoneはアメリカと同じ日に発売されるようになった。それどころか、アップルは中国・香港・マカオで販売するiPhoneをデュアルSIM対応にし、中国市場のニーズにできるだけ応えようとしている。
いまや消費大国となった中国を後回しにするグローバル企業はほとんどない。そしてユニクロも今月、注目のコラボTシャツを、日本より数日早く中国市場に投入した。
カウズとのコラボ、空前のヒットに
6月3日、中国各地のユニクロ店舗前には、開店前から長蛇の列ができた。正面玄関が開くと同時に、大人たちが全力ダッシュ。ショッピングセンターでは障害物競争のようにシャッターをくぐり、競争相手を排除し、店舗周辺は大混乱となった。マネキンが着ていた洋服も引きはがされ、丸裸にされてしまった。

客たちが手に入れようとしたのは、ユニクロがニューヨークの著名アーティスト「KAWS(カウズ)」とコラボしたTシャツとトートバッグだった。
カウズはニューヨークを主拠点に活動しているアーティストで、有名キャラクターの目を「×印」にする作風が特徴。1990年代から注目され、服飾ブランドとのコラボを多く手掛けている。
今年1月にはクリスチャン・ディオールとのコラボし、ぬいぐるみや衣類を売り出した。すると7500ドル(約80万円)の大きなぬいぐるみが、フリマアプリで3倍以上の価格で取引され、その「転売価値」が大きく注目されることとなった。
また、2019年4月1日にサザビーズ香港で開かれたオークションでは、日本のファッションデザイナーNIGO氏が出品したカウズのアートが、予想落札価格を大きく上回る… 続きを読む