Bizコンパス

中国で存在感高まる「現金受け付けない」ホテルやスーパー
2019.05.19

中国発!最新ビジネストレンド情報第8回

中国で存在感高まる「現金受け付けない」ホテルやスーパー

著者 浦上 早苗

 先日、都内の焼き肉屋で食事をし、会計でクレジットカードを出したら「すみません、現金でお願いします」と言われ、「そんなに現金持ってたっけ」と心配になった。

 中国に6年間住んでいる間に、キャッシュレスの洗礼を受けた私は、帰国後もほとんどクレジットカードかICカードで決済している。最近盛り上がっているQRコード決済「LINE Pay」や「PayPay」もダウンロードし、使うようになった。だから何かのときに財布の札入れを確認したら、1000円札すら一枚も入っていないなんてこともある。

 日本でも徐々に拡大しているキャッシュレス社会だが、中国では「現金がいらない」どころか、「現金が使えない」シーンも確実に増えている。

 

メニューのない飲食店、注文もスマホから

 今年4月、7年ぶりに杭州市を訪ねた。杭州は風光明媚な「西湖」がある観光都市として有名だが、最近ではアリババの本社がある場所としても知られている。アリババ経済圏で有望スタートアップも絶えず生まれ、ユニコーン(評価額10億ドルの未上場企業)の数では、北京、上海に次いで中国3位でもある。

 アリババの本拠地とあって、杭州ではライバルであるテンセントの決済アプリ「WeChat Pay(微信支付)」の存在感がやや薄く、アリババ系決済アプリ「アリペイ(支付宝)」のロゴが至るところに貼られている。高速料金もアリペイに対応しており、街中では「アリペイで決済したら割引」という八百屋の広告も見かけた。

 アリペイ本社近くにあるショッピングモールでは、女性店員の呼び込みに応じて、麺料理の店に入った。

 テーブルに着くと、店員がテーブルの上のQRコードを指さし「それを読み込んで注文して」と言った。スマホで読み込むと、店のメニューが表示され、注文・決済までできる。現金での支払いは想定してないようで、店内には会計コーナーもなかった。

 ホールの店員の仕事は、周囲を歩いている客に声をかけ、料理を運び、食器を片付けることだけ。その仕事も遠くない将来、自動化されて、店員は姿を消すかもしれない。

 ショッピングモールの地下には、アリババの未来型スーパー「盒馬鮮生(HEMA)」が入っていたが、こちらも専用アプリをダウンロードし、アリペイと連携しないと支払いができない。店内にはアプリのダウンロードを促すQRコードだらけだった。

 

アリペイ事前決済でしか泊まれないホテル

 さて、今回の杭州出張の目的は、アリババが2018年12月に開業した未来型ホテル「菲住布渴酒店(Fly Zoo Hotel」)に宿泊することだった。… 続きを読む… 続きを読む

続きを読むには会員登録が必要です

浦上 早苗

浦上 早苗

海外書き人クラブ所属、中国経済ライター

1998年から2010年まで西日本新聞社記者。その後中国政府奨学金を受け博士留学(専門は経営学)。中国・大連の少数民族向け国立大学で教員。中国経済ニュース、米国経済ニュースの翻訳の他、中国経済関連記事を執筆。法政大学MBA兼任教員。

関連キーワード

SHARE

関連記事

東南アジアのベンチャー企業が日本のピッチイベントに参加する理由とは

2019.03.06

新たなイノベーションはアジアから始まる第2回

東南アジアのベンチャー企業が日本のピッチイベントに参加する理由とは

中国人旅行者は「QRコード決済」で呼び込め!

2018.03.14

いま求められる“顧客接点の強化”第5回

中国人旅行者は「QRコード決済」で呼び込め!

なぜ今、QR決済に参入する企業が増えているのか

2018.09.17

ITサービスの最新動向に迫る第11回

なぜ今、QR決済に参入する企業が増えているのか

なぜ今、中国で「QRコード決済」が大人気なのか

2017.08.03

ケータイ業界の最新動向に迫る第41回

なぜ今、中国で「QRコード決済」が大人気なのか