中国人をターゲットにした商戦は、11月11日の「独身の日」、10月前半の国慶節、1~2月の春節が有名だ。これらはいずれも、中国の大型連休であったり、中国のイベントであり、日本企業のミッションは、大きなパイの一部を獲得することである。
一方で、日本のイベントでありながら、中国人に大人気の商戦もある。それが、間もなく訪れる「花見」だ。
日本=桜、中国で広く浸透
老若男女を問わず中国人の多くは、日本と言えば即座に桜をイメージする。金沢の大学に留学している中国人男子学生は、「高校入試で不本意な結果となり自暴自棄になっているときに、立ち直るきっかけをくれたのが日本アニメだった。アニメに出て来る桜並木を見て、大学入試で頑張って日本に行こうと思いなおした」と話した。彼は実際、高校3年間の間は、スマホやデスクトップの背景を桜の写真に設定していたという。
日露戦争の舞台にもなった中国東北地方の旅順市では、日本統治時代に植えられた桜の木が4月下旬に一気に開花する。旅順は日本企業や日本語学習者が多く、元々親日的な土地柄とあって、10年以上前から日本と同じような花見が開かれ、和服のレンタル業者も出現する。
中国人にとって海外旅行が身近となり、本場の日本で桜を楽しもうと考える旅行者も増加している。2018年3月の訪日中国人客数は前年同月比16.9%の59万4900人。4月は同29.2%増の68万3400人を記録した。4月上旬は、日本のお盆にあたる「清明節」という3連休があり、今年は4月5日~7日が休暇となる。ソメイヨシノが開花する3月下旬から4月上旬にかけ、この春もさらに多くの中国人が日本に押し寄せるだろう。
この「桜目当て」の訪日中国人を狙って、2月から仕込みを続けているのが、日本商品に特化した越境ECプラットフォーム「豌豆(ワンドウ)」を運営するインアゴーラ(Inagora株式会社、本社:東京)だ。
ECアプリで「桜キャンペーン」を展開
中国のSNS「微博(ウェイボ)」で、18万人のフォロワーを持つ軟軟氷(ルアンルアンビン)さんは、この3月6、7日に、… 続きを読む