2019年、日本の景気は東京オリンピックを前に腰折れする懸念が指摘されている。大きな要因は、秋に控えた消費税増税だが、最近の株価の不安定さは中国経済の減速の影響を受けている。2018年の中国の自動車販売台数が28年ぶりに減少するなど、中国消費の低迷は、2018年中ごろには既に数値に現れていた。

 そんな最中に、「ファーウェイ(華為技術、Huawei)」の孟晩舟副会長兼CFOが12月初旬、対イラン経済制裁に違反したとして、アメリカ政府の要請によりカナダで逮捕された。もともとファーウェイ製品の締め出しを進めていたアメリカ政府は、カナダや日本など同盟国にも同社製品の排除を呼びかけるなど、米中貿易摩擦が深刻化。世界の経済情勢は一気に不透明になった。

 いま、ファーウェイに何が起こっているのか。そしてなぜアメリカはファーウェイを排除しようとしているのか。同社を取り巻くこれまでの状況をまとめてみる。

 

「ソフトバンクの関連企業ですか?」

 私は孟副会長が逮捕される前からファーウェイの記事を時々書いており、2018年夏にはファーウェイ・ジャパンの従業員をインタビューした。そのような経緯もあって、一連のファーウェイ騒動を報じるテレビ番組に、解説やコメンテーターとして立て続けに出演したのだが、番組担当者たちのこんな言葉に、本当に驚いた。

「ファーウェイって名前は聞いたことがあるけど、ブラックベリーと混同していて、北欧の企業だと思っていました」

「プロ野球の球場やユニフォームに広告出しているから、ソフトバンクの関連企業だと思っていました」

 ファーウェイは中国最大の民営企業であり、5G分野では世界首位、スマートフォンではアップルを上回り、サムスンに次ぐ世界2位のグローバル企業だ。

 アメリカのアップルのことは皆知っているし、専門家もわんさといるのに、隣国のこれほどの巨大企業に対する認知度はこれほどまで低いのか……。しかもアップルと同様、ファーウェイと日本企業は密接な関係を持っている。

 

ファーウェイと「BAT」3社の違いとは

 ファーウェイが設立されたのは、まだ世の中にインターネットが普及する前の1987年のこと。通信機器の代理店として創業し、1990年代前半に製品の自社開発を行うメーカーに転換。大学を卒業したばかりの孟会長も、この時期に入社した。

 同社はその後、通信インフラの整っていない中国農村部で通信設備を提供してシェアを拡大。1990年代後半から2000年代前半にかけて、中国の民営企業のスターと位置付けられるようになり、海外進出にも着手した。

 中国の企業というと、バイドゥ(Baidu)、アリババ(Alibaba)、テンセント(Tencent)の「BAT」の3社も、日本では名の知られた存在である。ただ、これらBATは、… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

浦上 早苗

浦上 早苗

海外書き人クラブ所属、中国経済ライター

1998年から2010年まで西日本新聞社記者。その後中国政府奨学金を受け博士留学(専門は経営学)。中国・大連の少数民族向け国立大学で教員。中国経済ニュース、米国経済ニュースの翻訳の他、中国経済関連記事を執筆。法政大学MBA兼任教員。

関連キーワード

連載記事