中国アリババグループが11日に行った「独身の日」のセールの取引額は、過去最高の2,135億元(約3兆4,000億円)に達した。セールを開始した2009年には5,000万元(現在のレートで約8億円)だった取引額は、2年前に2兆円を突破したころから「世界最大のセール」と認識されるようになり、今年は日本の大手メディアもこぞって取り上げる祭典になった。

 

普段買えない物をまとめ買い

 筆者が今年、一番驚いたのは、「日本メディアの関心の高さ」だった。越境EC企業「インアゴーラ」が日本で展開するインフルエンサーのイベントには、日本経済新聞、NHK、テレビ東京と、大手マスコミが軒並み取材に訪れた。

 日本側から見た独身の日セールは、「中国のECサイトで商品がバカ売れする日」で、メディアの関心は、「日本商品の人気」に集中した。もちろん、取材に応じた中国人インフルエンサーは「日本商品が大好きだ」「品質がいい」とべた褒めしてくれるけど、日本の大手企業で越境ECを担当する中国人マーケターは、「とにかく何でもかんでも売れるので、日本企業もその恩恵を受けられる日、といった方がより実態に近い」と説明する。

 北京在住の公務員、曹さん(27歳)は、セールの前から「上から下まで全部買いたい」と商品のチェックを繰り返した。昨年の独身の日セールで買ったドライヤーがあまり使い勝手がよくなく、今年は有名メーカーのドライヤーを購入した。

 大連の大学院生、揚さん(23歳)は、セール前の予約販売で化粧品を約1,000元分購入(約1万6,000円)。11日も0時からアリババECサイト「天猫(Tmall)」を巡回し、衣類や雑貨など追加で600元分購入した(約1万円)。楊さんは普段、奨学金で生活しており、「収入が少ないので、買いたいものがたくさんあっても普段は買えない。この日を何カ月も前から待っている」と話す。

 中国では1990年代生まれの若年層の購買力が注目されるが、金額でみると、独身の日の買い物の主力は、経済的に余裕がある30~40代のようだ。今年8月に子どもが生まれた日本語教員の男性(39歳)は、日本メーカーのオムツやベビー用品を買いだめ。「この前日本に旅行したときも、かなり買い込んだんだけどね。消耗品はいくらあっても困らないから」と話した。

 

オンラインからオフラインに延伸

 独身の日のセールを始めたのはアリババで、報道される取引額もアリババサイトのものだけだが、この期間は中国全体がセールをしている。アリババに次ぎEC2位の京東商城(JD.com)も、1日から11日までにセールを行い、取引額は… 続きを読む

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浦上 早苗

浦上 早苗

海外書き人クラブ所属、中国経済ライター

1998年から2010年まで西日本新聞社記者。その後中国政府奨学金を受け博士留学(専門は経営学)。中国・大連の少数民族向け国立大学で教員。中国経済ニュース、米国経済ニュースの翻訳の他、中国経済関連記事を執筆。法政大学MBA兼任教員。

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