2018.03.30 Fri

 一昨年にポケモンGoがリリースされ、瞬く間に社会現象となったことにより、「AR(Augmented Reality、拡張現実)」技術は一般的に知られるワードとなった。

 この影響もあって、ARといえばゲームやエンターテイメント系アプリでの利用が真っ先に思い浮かぶかもしれない。しかし、ARの市場規模は非常に大きく、可能性はそれだけではない。実際にARをビジネスに活用している事例はあり、既に効果を出している企業もある。

 ARをビジネスに利用するには、どのようにすれば良いのだろうか?そして、ARを使うことで、企業や顧客にどんなメリットがあるのだろうか? その可能性について、2012年からAR作成ソフトの提供を開始したスターティアラボ株式会社の代表・北村健一氏が解説する。


 

ARが日本でウケる理由は「手軽さ」にあり

 ARとは「現実世界にデジタルコンテンツを重ね合わせて表現することで現実を拡張する技術」のことである。

 ARは「VR」(Virtual Reality)と並んで比較されることが多いが、VRは「現実世界を遮断してまったく別の世界をデジタルで構築し、そこに没頭させる」ことを指す。それぞれが狙っている顧客体験は、近いようで別のものである。とはいえ、最近は「MR」(Mixed Reality/複合現実)という、両要素を混ぜ合わせた概念も生まれており、将来両者は限りなく近づいていくという考え方もある。

 グローバルでは、ARに比べVRのビジネス化が進んでいる。ゲームやEコマース、自動車業界や教育業界など幅広い用途で、現実世界では困難な体験をよりリアルにシミュレートすることを目的に利用されている。しかし国内市場では、ARの方がビジネスでの利用が進んでいる。

 筆者はその理由を「手軽さ」が牽引しているからだと考えている。

 ARがVRよりも手軽である理由のひとつは、新しいハードウェアを開発することなく、すでに世の中に広がっているスマートフォンをデバイスにできるということだ。加えて、VRと違って現実世界を遮断する必要がないため、ゴーグルなしでスマートフォン単体で完結させることができるところもポイントだ。

 特にここ最近は、非常に低コストなひとつのアプリで“相乗り”できるプラットフォーム型のARサービスが広がってきている。

 ここでいう“相乗りできるプラットフォーム”とは、具体的にいえば、マーカー上に重ねて表示させるための映像や3Dコンテンツを、アプリ内ではなくクラウド上に格納することで、スマートフォンのカメラでマーカーを読み込んだ際に、その都度デジタルコンテンツをインターネット経由でサーバーからダウンロードさせ表示できる、という仕組みのことだ。

 これにより、アプリを個別に作る必要がなく、コンテンツの追加がブラウザ上で誰でも簡単に実行可能なため、コストを格段に抑えることができるのである。

 こういった安価なサービスにより、イベントやライブ、DM・チラシ、地域活性化や観光PR、パッケージや商業印刷、ノベルティから雑誌・書籍・教育、看板・ポスター、ブライダルまで、ありとあらゆる産業に様々な目的で利用が進んできているのである。

 

【事例1】製菓メーカーではもはや定番に

 前述の通り、ARは安価に用意できる利点はあるが、だからといってすべてのユーザーが、企業が用意したARを利用するとは限らない。ここからは、実際に人気を博しているARのビジネス活用の具体的な事例を見ていこう。

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北村 健一

北村 健一

1977年9月23日生まれ、福岡県北九州市出身。上京後、スターティアへ入社。マーケティングを重視した営業活動を行い、入社数カ月でトップセールスになる。新規事業として電子ブック事業を立ち上げ、後にスターティアラボとして分社化、2009年4月1日にスターティアラボ(https://www.startialab.co.jp/)設立、代表取締役社長に就任。
「世界標準のマーケティングエコシステム」をビジョンに、デジタルマーケティング 関連事業を手掛ける。ARの可能性に着目し、2012年より企業向けAR作成ソフト「COCOAR」の提供を開始し、クリエイティブ企業を中心に販促ツールとして活用され、現在1,414 社以上に導入されている。
今後は、ARを販促・集客・情報配信ツールとしての価値を強化していくとともに、ARコンテンツを閲覧するエンドユーザーの顧客体験を実現させることを目指している。

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