海外発!最新ビジネス事情2018(アメリカ・シアトル)

アメリカで「着物ビジネス」がヒットする理由とは

2018.05.02 Wed連載バックナンバー

 日本の着物は、世界に誇れる伝統文化だ。京都や鎌倉といった観光スポットはもちろん、成田空港でも気軽に着付け体験ができる昨今。着物を着ることは、訪日観光客にとって欠かせないアクティビティになっている。

 着付け体験ができるのは、日本国内に限らない。アメリカ北西部の都市シアトルでは2018年1月に斬新な着物ビジネスが誕生し、話題を呼んでいる。「日本の価値観を押し付けなかったから、アメリカ人に受け入れられたのかもしれない」と語るのは、若き経営者・湯村絵里氏。ビジネスの秘訣と立ち上げの経緯を聞いた。

 

日本人にはカジュアルに、現地人にはフォーマルに

「ユムラ・キモノ・ワークス」は、着物レンタルと着付けを手掛けるスモールビジネスだ。着物を約100点、帯は約60点常備し、顧客の好みや体形、用途に合わせて代表の湯村絵里氏が各人にスタイリングを施している。

 顧客の年代は中学生から60代までと幅広く、現在100%が女性。顧客層は大きく2種類に分かれる。一方は、駐在や結婚などでアメリカに住んでいる日本人。ある程度着物に親しんでいるため、モダンな柄に挑戦したり、こなれた着崩し方をしたりと“着物で遊ぶ”ことを目的に訪れる人が多い。そんな日本人に対しては着物を前後逆にしたり、大胆に裾を上げてショートブーツを見せたりと、思い切ったアレンジを提案する。アメリカで買い付けたベルトやスカーフを合わせることも多い。

 もう一方の層は、アメリカ人とその他の国出身の外国人だ。彼らの大半は、日本人と対照的に正式な着付けを求める。着物にまったく触れたことがないからこそ、基本を身につけたいというのだ。足袋と草履を履いて襦袢を身につけ、帯をキュッと締めると「気持ちまで引き締まる」と語る人が多い。

「他にも、普段使わない筋肉を使えるとか、襟足や爪先にまで意識が向いて気分がいいと言っていただきます」と湯村氏。「ビジネス開始当初は、着物に慣れていない人たちには履きやすい靴を合わせたり帯を緩めに締めたりした方がいいと思っていたのですが、実際はまるで逆でした」

 

 

異文化に寛容なシアトルだからこそ成り立つ着物ビジネス

 湯村氏は、京都で五十年以上続く友禅染湯村染工の三世代目として生まれた。物心ついた頃から着物が身近にあったが、長らく「着物って、古典紋様ばかりでつまらない」と思っていたという。しかし結婚を機にアメリカ・シアトルへ渡ってから、その価値観が一変する。… 続きを読む

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大井 美紗子

大井 美紗子

大井美紗子
海外書き人クラブ所属・アメリカ在住ライター

日本の出版社で単行本の編集者を務めた後、渡米を機にフリーへ。アメリカ北西部の都市シアトルにて、フードトレンドや育児に関する執筆・翻訳を行っている。

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