海外発!最新ビジネス事情2018(マレーシア・クアラルンプール)

過熱する「デング熱」ビジネス

2018.07.03 Tue連載バックナンバー

 マレーシアは、年間を通じて最高気温が30℃台の熱帯です。日本でも、2014年に160人以上が国内でデング熱に感染したのは記憶に新しいところですが、常夏のマレーシアでは、蚊が媒介する伝染病が珍しくありません。デング熱のほか日本脳炎もあり、地域によってはマラリアの感染リスクもあるため、健康な生活のためには蚊の予防が欠かせません。

 

統計開始以来の大流行

 デング熱は、マレーシアでは毎年十万人前後が感染しています。2015年には12万836人が感染(うち336人が死亡)し、保健省が統計を取り始めてから最多を記録しました。

 感染者数は、翌2016年には10万1,357人(うち237人死亡)、2017年には8万3849人(うち177人死亡)と、幾分減少しています。しかし、マレーシアにおける5大感染症(デング熱、結核、手足口病、食中毒、レプトスピラ病)のうち、デング熱がもっとも感染者が多い病気である状況は変わっていません。

 最近では、チクングニア熱、ジカ熱など、やはり蚊による感染症の患者も出たことから、政府も啓発活動に取り組んでいて、蚊の駆除に対する国民の意識も高まっています。市中では、ニーズに合わせて多種多様な薬剤、防虫製品が販売されています。

 どこでも売られているのは、日本生まれの渦巻き型蚊取り線香です。12巻入りが標準で、徳用の100巻セットや、緑茶などの香りがついたものもあります。スーパーマーケットやコンビニエンスストアには、電気式・電池式の蚊取器も一年中置かれています。

 押すだけで薬剤が空中に拡散し、12時間効果が持続する殺虫剤も人気があります。即効性があり、蚊取線香の殺虫効果(8時間程度)よりも長持ちすること、電気や火を使わないので火災の心配もないことが好まれているようです。

 

蚊を侵入させない住まいの工夫

 蚊は高層階までは飛べないといわれていますが、外から人の衣服についてきたり、建物の屋上の水たまりなどで繁殖することもあるため、20階でも蚊に刺されることがあります。

 中間層の多く住むコンドミニアム(日本でいうマンション)などでは、定期的に敷地内に駆除剤を散布して蚊の繁殖を防いでいます。デング熱患者が出た地域では、さらに感染が広がるのを防ぐために、行政が駆除を行うこともあります。

 こういう環境下で見直されているのが、… 続きを読む

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川崎 典子

川崎 典子

ライター

マレーシア・クアラルンプール在住。出版社、国際協力NGO勤務などを経て、現在、編集・ライター。「海外書き人クラブ」会員。1990年代に1年超の長旅をしたのがきっかけで「歩く旅」にめざめ、以後20年にわたって東南アジアとかかわっています。これまでの訪問国は、アジア地域を中心に20か国以上。歴史や文化を軸に、東南アジアの食や手工芸などについて寄稿しています。

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