海外発!最新ビジネス事情2018(中国・大連)

中国人が日系企業を「転職の踏み台」と考える理由

2018.04.03 Tue連載バックナンバー

「日本企業の城下町」としても知られる中国東北部の大連市は、世界最大の日本語人材育成都市といっても過言ではない。

 1学年700人という国内最大の日本語学科を擁する大連外国語大学をはじめ、理工大学だろうが水産大学だろうが、市内ほぼ全ての大学に日本語学科が設置されているからだ。郊外の開発区にはキヤノン、東芝など製造業が進出し、1990年代後半になると日本語人材の多さに目を付けたIT企業が続々と拠点を開設。BPO産業が急成長した。

 産業の成長と雇用拡大、人材育成の好循環が続いたが大連だが、2010年代に入ってからは、就職ツールとしての日本語の優位性は徐々に薄れ、採用現場での日本企業の競争力も低下している。

 

「日本企業=残業が多い」のイメージ定着

 大学の日本語専攻の教員と学生の価値観には、大きな隔たりがある。教員が大学生だった1990年代以前は、大学生はエリート中のエリートである上、実力ある国内企業は少なかった。日本語を学んだ大学生は、中国の日系企業に恵まれた待遇で就職することも、留学や大学院進学で学歴を重ね、教員や研究者になることもできた。

 だが、今は違う。日系企業の待遇は欧米企業に比べれば見劣りし、昇進機会も限られる。日本のサラリーマン社会の上下関係の厳しさや残業の多さも広く知られている。さらには中国の国有企業や大手IT企業の待遇が、日系企業とそん色なくなった。

 大連の日本語教育関係者は2000年代後半から、「日本語プラスワン」、つまり会計やコンピューターなどのもう一つのスキルを身に着ける必要性を口にしている。

 

「日本語しかできない」コンプレックス
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浦上 早苗

浦上 早苗

海外書き人クラブ所属、中国経済ライター

1998年から2010年まで西日本新聞社記者。その後中国政府奨学金を受け博士留学(専門は経営学)。中国・大連の少数民族向け国立大学で教員。中国経済ニュース、米国経済ニュースの翻訳の他、中国経済関連記事を執筆。法政大学MBA兼任教員。

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