この数年、世界でバズワードになっているシェアエコノミー(シェアリングエコノミー)。日本でも徐々に関心が高まり、2018年は米コワーキングスペースの「WeWork」など、各分野のリーダー企業が続々と日本に進出する予定だ。
シェアサービスと言えば、WeWorkのほかに民泊のAirbnb、ライドシェアのUberなど米国企業が有名だが、中国企業の躍進も著しい。中国配車アプリ「滴滴出行」(ディディ・チューシン)は2月、日本でのタクシー配車でソフトバンクとの提携を発表。既に福岡でサービスを開始したシェア自転車の「摩拜単車(モバイク)」も、LINEと組んで日本人向けサービスの充実を図っている。
中国のシェアサービス大手の多くは、サービス開始から数年で全国展開するほどの急成長を遂げた。背景には「テクノロジー」「投資マネー」「国民性」の3つの要因がある。
位置サービスと決済アプリが成長のインフラに
シェア自転車サービスが北京で芽吹いたのは2016年。それが今では、北京だけでなく中国の都市部にオレンジや黄色の自転車があふれかえっている。
「ofo」やモバイクといったシェア自転車スタートアップは、スマホのGPS機能や決済アプリと組み合わせることで、好きな場所での乗り降りや、人を介さない決済を実現し、貸し自転車サービスを、国民の足にした。
中国は2大決済アプリ「微信支付(WeChatPay)」と「支付宝(アリペイ)」の普及で、都市部ではキャッシュレス経済が現実のものとなり、お年玉もスマホ上でやり取りされている。シェアサービスにとって、スマホ一台で、サービスの予約から利用、支払いまでできるシステムは、成長にかかせないインフラと言える。

短期間の急成長を可能にする中国マネー
シェアサービスを全国に広げるためには、莫大な投資が必要になる。シェア自転車やフードデリバリーは、ユーザー獲得のためにクーポンがしばしば発行される。シェア自転車の場合は、大量の自転車を短期間に製造しなければならないし、フードデリバリーはレストランや配送員の確保にも投資がかさむ。
これらの企業を資金面で支えているのが、… 続きを読む