東大大学院・越塚教授に聞く(前編)

「コネクテッドカー」は社会をどう変えるのか?

2018.03.20 Tue連載バックナンバー

 世界各国で、インターネットへの常時接続機能を備えた自動車「コネクテッドカー」の開発競争が激化しています。情報通信技術の進展とモバイルネットワークの高速化・大容量化により、いよいよ本格的な実用化フェーズに突入しました。

 このコネクテッドカーは、社会に何をもたらすのでしょうか?総務省が開催した「Connected Car社会の実現に向けた研究会」の構成員を務めた東京大学大学院情報学環の越塚登教授が、コネクテッドカーの現状や実用化の事例について語ります。(取材/文/構成 ノーバジェット)

 

自動運転だけがコネクテッドカーの特徴ではない

 近年、ビッグデータやAIなど情報通信技術の進展とモバイルネットワークの高速・大容量化により、ネットワークにつながる自動車「コネクテッドカー」の研究開発が進んでいます。世界的にも自動車メーカー、情報通信機器メーカー、通信事業者などが連携し、すでに実用化段階に突入した事例も登場してきています。

 コネクテッドカーというと、最近はとくに自動走行技術が注目されています。自動車に搭載されたコンピュータが外部のITS(Intelligent Transport Systems=高度道路交通システム)と通信しながら、自動的に運転操作の制御を行って走行する自動車のことです。

 しかし、コネクテッドカーは自動走行技術だけに限ったものではありません。ネットワークを介して外部と情報をやりとりしながら、これまでにないさまざまな機能を提供する自動車のことをコネクテッドカーと呼びます。

 1990年代にインターネットが普及し始め、世界中のコンピュータがネットワークにつながりました。この情報革命は世の中に大きなインパクトをもたらしましたが、今度は当時のコンピュータよりもはるかに多い自動車がネットワークにつながろうとしています。これはインターネット時代が始まって以来のインパクトを持っていると言えるでしょう。

 コネクテッドカーで最も重要な要素技術は、自動車の車両だけではありません。自動車と外部との情報のやりとりを担うモバイルネットワーク、IoTやAI、画像認識などの情報分析処理技術、自動車に各種機能を付加するアプリケーション、また地理情報のオープンデータや最新地図データなど、さまざまな要素技術によって構成されています。さらに道路や通信網といったインフラも含めた一体的な整備が必須となります。

 

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 コネクテッドカーが一般にも注目されるようになったのは、自動走行技術が話題になった、ここ2~3年のことです。しかし自動車をネットワークで接続するITSの研究開発は、10年以上も前から進められており、すでに実用化フェーズに入ったコネクテッドカーの事例もあります。

 そうしたコネクテッドカーの実用化事例として、私が開発や実証実験に関わった例をいくつか紹介しましょう。

 1つは、2014年に本番運用を開始した神奈川県… 続きを読む

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越塚登

越塚登

東京大学大学院 情報学環 教授

東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。東京工業大学理学部助手、東京大学大学院 助教授などを経て、2009年から現職。2017年4月からユビキタス情報社会基盤研究センター長、ダイワユビキタス学術研究館長を兼務。ユビキタスコンピューティング、IoTの専門家としてコネクテッドカーをはじめ、空間情報サービス、デジタルミュージアム、未来住宅などの応用に取り組む。

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