近年「有機ELテレビ」が注目されており、画質も年々進化しています。しかしこの「有機EL」とは、一体何でしょうか。今までの液晶テレビと何が違うのでしょうか。
薄い! 消費電力が少ない!
有機ELとは、「有機エレクトロ・ルミネッセンス」の略で、特定の有機化合物に電圧をかけると発光する現象のことを指します。これを利用したテレビを有機ELテレビと呼びます。
従来の液晶テレビとの違いは、画像を映し出す方法にあります。液晶テレビは本体裏側のバックライトの光を「液晶シャッター」という装置でコントロールすることで、テレビの画面を表示しています。
有機ELには、そもそもバックライトも液晶シャッターもありません。発光層(EL層)に電流を流すだけで発光します。そのため、消費電力が低く、パネルを薄くできるというメリットがあります。このほかにも、高速応答、高コントラストという特長もあり、液晶に代わるディスプレイ用製品として注目されています。
最近では大型のテレビ用でも、4Kや8Kといった高精細の製品が発売されています。現状では、大きさが55インチ以上、価格も20万円前後と、高級・大型なものしか発売されていませんが、その画面の精細さやはっきりしたコントラストは今までの液晶にはないもので、一度見ると非常に印象的です。
テレビ以上に導入されているのが、スマートフォンなどの小型パネルを必要とするデバイスです。液晶のように平面でなくても使用できるため、形状の自由度が増します。さらにいえば、低消費電力のためバッテリーの消費も抑えられる点、軽くて持ち運びやすい点、視野角が広い点も、スマホに向いているメリットです。
デメリットとしては、大型化や高精細化が難しい、通電や酸素、湿気によって徐々に劣化するため寿命が短いといった点もあります。とはいえ、ライフサイクルはほぼ3年と言われており、2~3年で買い換えることが多いスマートフォンでは、有機ELの寿命はあまり問題にならないようです。
なぜ有機ELを採用する製品は海外メーカーが多いのか
有機ELという技術は、10年以上前から存在していました。しかし、普及はなかなか進みませんでした。… 続きを読む