2017.12.29 Fri

 大企業を巡る特許紛争の構図が変わり始めています。

 今までは、メーカー同士の争いなど同業種間での紛争が中心でした。代表的なものに、アップル対マイクロソフトのソフトウェア開発会社同士の争いがあります。

 しかし、ネットワーク通信の進展に伴い、「通信会社対その他の業種」という争いが増えており、たとえば通信会社と自動車メーカーの紛争も起きています。あらゆる業種が紛争の対象となるため、従来は特許紛争に無縁であった企業も、今後は争いに巻き込まれる恐れがあります。

 こうした異業種間紛争の多くは、「標準必須特許」を巡る争いです。標準必須特許とは、標準規格を満たす製品に必ず使わなければいけない技術のことです。たとえば、携帯電話とワイヤレスで接続できる自動車を作るためには、標準必須特許として、Bluetoothの無線技術を必ず使わなければいけません。

 こうした紛争に巻き込まれないためには、どのようにすれば良いのでしょうか。今回は、異業種間の特許紛争の対処法を紹介します。

 

異業種間の紛争には「相場」がない

 異業種間紛争が厄介な理由は、2つあります。まず1つ目は、業種によってライセンス料の相場が異なる点です。

 従来の同業種間の争いでは、各企業の技術内容や経営状況をお互いに理解できるため、和解交渉進めることが容易でした。実は、従来の特許裁判においては27%が和解で終結しています。つまり、特許紛争が裁判沙汰になったとしても、約3割は話し合いによって解決できているのです。

 しかし、異業種間紛争では、互いの業種の慣例に理解がないため、話し合いで平和的に解決することが困難です。“相場感”も乖離しているため、落とし所のすり合わせができません。話し合いで解決できないということは、紛争の長期化につながります。

 2つ目は、… 続きを読む

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田中 靖子

田中 靖子

法律家ライター

東京大学卒業後、2009年に司法試験に合格。弁護士として知的財産業務、会社設立等のビジネス関連の業務を扱う。現在は海外に在住し、法律関連の執筆や講演を行っている。

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