仮想通貨の理想と現実(第3回)

ビットコインの「分裂」は発展か退化か

2018.02.01 Thu連載バックナンバー

 1月中旬、ビットコインの価格が大暴落した。昨年12月には1BTC=約220万円 という最高値を記録したにもかかわらず、1月16~17日には、1BTC=約100万円と、半値以上も下落した。

 暴落の理由についてはさまざまなものがあるだろうが、半値近くになった価格を眺めて“買い時”とみている人もいるかもしれない。だが、ビットコインは現在、複数のビットコインに“分裂” しつつあり、価格の維持が現在以上に難しくなっていく可能性がある点には注意が必要だ。

 ビットコインが直面する「分裂」の問題とは何か? そして、ビットコインは今後どのように変化していくのだろうか? 第1回第2回に続き、麗澤大学経済学部教授の中島真志氏が語る。


 

ビットコインは分裂によって発展する?

 ビットコインが分裂する背景には、「取引量」の問題がある。

 ビットコインの存在が広く知られるようになるにつれて、取引量は徐々に増えてきた。では、この取引量はいくらでも増やすことができるのかというと、そうではない。実はビットコインには「ブロックサイズ」の問題があり、取引量には限界がある。

 ビットコインには「ブロックチェーン」という技術が用いられている。これは、取引が行われた際に、多くの取引データを「ブロック」に格納して、そのブロックを鎖(チェーン)のように繋いでいく技術である。この技術により、取引データの改ざんが極めて困難になるというメリットがある。

 ビットコインにおけるブロックのサイズは、最大「1メガバイト」に定められている。このため、ビットコインの取引は、1秒間に世界全体で7件が上限となっている。

 しかし、ビットコインの取引量が増えてくる中で、このブロックサイズが限界に達し、最近では、取引が確定するまでに何時間もかかったり、未承認の取引が積み上がったりといった事態が頻発している。

 こうした事態を巡って、関係者は2派に分かれて対立した。1つは、取引データ内にあるデジタル署名を分離する機能(「セグウィット」と呼ぶ)を追加することにより、1つの取引あたりのデータ量を小さくして、1ブロックの容量は変えないとする「スモール・ブロック派」。もう1つが、… 続きを読む

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中島真志

中島真志

1958年生まれ。81年一橋大学法学部卒業。同年日本銀行入行。調査統計局、金融研究所、国際局、金融機構局、国際決済銀行(BIS)などを経て、現在、麗澤大学経済学部教授。博士(経済学)。

 単著に『外為決済とCLS銀行』、『SWIFTのすべて』、『入門 企業金融論』、共著に『決済システムのすべて』、『証券決済システムのすべて』、『金融読本』など。決済分野を代表する有識者として、金融庁や全銀ネットの審議会等にも数多く参加している。
 最新刊の『アフター・ビットコイン』(新潮社)は、成毛眞氏(元日本マイクロソフト社長)が「今年最高のビジネス書、おススメ本だ」と激賞したこともあって、アマゾンや大手書店のランキングで上位に入り、発売後まもなく続々と増刷が決定するなど、好調な売れ行きとなっている。https://www.amazon.co.jp/dp/4103512814
(編集:株式会社ネクストアド)

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