仮想通貨の代表的な存在といえば「ビットコイン」。2017年はその価値の高騰ぶりに注目が集まったが、昨年12月に突如暴落するなど、不安定な動きを見せている。

 はたしてビットコインは、通貨として信頼に足るものなのだろうか? 前回に引き続き、ビットコインの真の姿について、麗澤大学経済学部教授の中島真志氏が語る。


 

ビットコインの信頼性は揺るがない?

 2014年2月に、東京所在の「マウントゴックス」というビットコイン取引所が破たんした事件は記憶に新しい。同社は、当時世界シェア7割を有する世界最大のビットコイン取引所であったため、その衝撃も大きかった。

 この事件は、当初は外部からの不正なサイバー攻撃により、同社が顧客から預かっていたビットコインが大量に消失した(約470億円分)とされたが、実際は同社の社長が横領によるものと分かった。ビットコイン推進派の人々は、「この事件は、ある特定の取引所の管理が甘かったという特殊な事例であり、ビットコインの仕組みそのものに問題がある訳ではない」との主張を展開した。

 しかし、ビットコイン取引所での盗難事件は、これだけではない。2016年8月には、香港に拠点を置く取引所である「ビットフィネックス」から12万BTC(約75億円)が盗まれた。また2017年12月にも、韓国の仮想通貨取引所である「ユービット」がハッキング攻撃(北朝鮮の仕業とみられている)を受け、総資産の17%相当を失って、取引所を閉鎖するとともに破産を申請した。さらに、ビットコインに次ぐ2位の仮想通貨である「イーサリアム」についても、2016年6月に、投資ファンド「ダオ」がハッキングを受けて、大量のコイン(約65億円)が流出するという事件が起きている。

 このほかにも、ビットスタンプ(英国)、ゲートコイン(香港)、シェイプシフト(スイス)などのビットコイン取引所が、これまで軒並みハッキングの被害にあっているとされており、ある調査によると、ビットコイン取引所のうち3分の1がハッカーに攻撃されたことがあるという。

 こうした仮想通貨の盗難や流出事件は、ビットコイン自体が偽造されたり、改変されたりはしておらず、ビットコインの安全性を支える仕組みが破られた訳ではない。しかし、「ビットコインそのものに問題がある訳ではない」としても、… 続きを読む

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中島真志

中島真志

1958年生まれ。81年一橋大学法学部卒業。同年日本銀行入行。調査統計局、金融研究所、国際局、金融機構局、国際決済銀行(BIS)などを経て、現在、麗澤大学経済学部教授。博士(経済学)。

 単著に『外為決済とCLS銀行』、『SWIFTのすべて』、『入門 企業金融論』、共著に『決済システムのすべて』、『証券決済システムのすべて』、『金融読本』など。決済分野を代表する有識者として、金融庁や全銀ネットの審議会等にも数多く参加している。
 最新刊の『アフター・ビットコイン』(新潮社)は、成毛眞氏(元日本マイクロソフト社長)が「今年最高のビジネス書、おススメ本だ」と激賞したこともあって、アマゾンや大手書店のランキングで上位に入り、発売後まもなく続々と増刷が決定するなど、好調な売れ行きとなっている。https://www.amazon.co.jp/dp/4103512814
(編集:株式会社ネクストアド)

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