仮想通貨の代表的な存在の1つが「ビットコイン」。多くの書籍も出版され、マスコミにもしばしば取り上げられている。その中では、「夢の通貨の誕生」、「仮想通貨が世界を変える」などと夢や希望にあふれた論調で語られがちである。

 しかし、本当にそうなのだろうか。確かに従来の通貨と比べてメリットはあるものの、その裏には、できれば知りたくなかった、夢も希望もない現実も存在する。

 この連載では、一般に流布している「夢の通貨ビットコイン」のイメージに誤りがないのかを、3回にわたって考察してみたい。

 

ビットコインは、世界中でたくさんの人が使っている?

 ビットコインが従来の通貨と決定的に違うものとして「アドレス」がある。アドレスとは、ビットコインを相手とやり取りするための口座番号のようなもので、世界に1,600万個存在している。これを見ると、1,600万人というかなりの大人数が、これらのアドレスを使ってビットコインを取引しているように見える。

 しかし、各アドレスが保有しているビットコイン数を見ると、0.001BTC(BTCはビットコインの通貨単位、0.001BTC≒800円、11月末)以下という、ほとんど残高のないアドレスが全体の6割を占めている。これに、0.1BTC(≒8万円)以下のアドレスを加えると、世界のアドレスの90%と大半を占めている。

 残高の少ないアドレスが大部分を占めていることは、仮想通貨の仕組みに興味を持った人による「お試しアドレス」が多いことを示唆している。つまり、ビットコインを実際に積極的に使っている人の数は、見た目ほど多くないのである。

 一方、残高が10BTC(≒800万円)以上あるアドレスの数は、約15万アドレスと、全体の0.8%に過ぎない。このわずかなアドレスの保有しているビットコインは、なんと全体の… 続きを読む

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中島真志

中島真志

1958年生まれ。81年一橋大学法学部卒業。同年日本銀行入行。調査統計局、金融研究所、国際局、金融機構局、国際決済銀行(BIS)などを経て、現在、麗澤大学経済学部教授。博士(経済学)。

 単著に『外為決済とCLS銀行』、『SWIFTのすべて』、『入門 企業金融論』、共著に『決済システムのすべて』、『証券決済システムのすべて』、『金融読本』など。決済分野を代表する有識者として、金融庁や全銀ネットの審議会等にも数多く参加している。
 最新刊の『アフター・ビットコイン』(新潮社)は、成毛眞氏(元日本マイクロソフト社長)が「今年最高のビジネス書、おススメ本だ」と激賞したこともあって、アマゾンや大手書店のランキングで上位に入り、発売後まもなく続々と増刷が決定するなど、好調な売れ行きとなっている。https://www.amazon.co.jp/dp/4103512814
(編集:株式会社ネクストアド)

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