クレジットカード会社の経営はこの20年間のうちに、貸金業法などの環境の影響で大きく変化してきた。クレディセゾンは流通業界カードというあり方から脱し、永久不滅ポイントを始めとして、サービス先端企業への道を歩んでいる。ビジネスモデル転換のために必要な考え方を考察してみよう。
好調な業績を支えるカードショッピング
クレディセゾンは2016年度決算で、営業収益2,789億円(前年比103.3%)、経常利益530億円(121.1%)という好調な成績を残している。2017年度決算の予測でも営業収益104.7%という予想が出されている。2017年11月時点で、カードの発行枚数は約2,600万枚、稼働しているアクティブな会員は約1,472万人。同社グループのショッピングに占めるシェアは日本でもトップクラスである。
2016年度48.9兆円であるカードショッピング取扱高で、同社グループは14.6%を占め第一位であった(同社調べ)。 また、2017年5月には、同社の社員によって結成されたグループ「東池袋52」が大きな反響を呼び、新たなブランディングの手法としても注目された。
クレディセゾンは、2012年度に優れた経営を行っている会社に与えられる「ポーター賞」を受賞しているが、その受賞理由にもあったように、同社はクレジットカードを日常の買い物をサポートするサービスへと「再定義」した。それはどのように行われたのだろうか。
貸金業法改正以来、独立系カードとしての地位を保つ
クレジットカードには、かつて流通系、金融系、銀行系、信販系という区分が存在していた。それぞれのカードは、異なった顧客へのアプローチを採用していた。あるカードはステータス・シンボルとして機能していたし、銀行系カードであれば窓口に来る人へのアプローチが主だった。信販系であれば、着物など買い物に来た人がアプローチの対象だった。しかし、クレジットカードのビジネスの実態は、金利ビジネス、つまりお金を消費者に借りてもらい、その金利を収益源にするというものだった。
クレジットカードビジネスに大きな転機が訪れたのは2003年、… 続きを読む