ディスプレイを直接折り畳むことができるスマートフォンやPCが、各社から次々と発表されている。ディスプレイを折り曲げるという非常にインパクトのある仕組みを、一体どのように実現したのだろうか。
「真」の折り畳みスマートフォンが次々発表
2019年も数多くのスマートフォンが発表されているが、その中でもとりわけ大きな注目を集めたのが、ディスプレイを直接折り畳むことができる、「真」の折り畳みスマートフォンである。
ディスプレイを折り畳めるスマートフォンはかねてよりいくつかのメーカーが開発を進めているとされていた。だが、2018年10月に中国のRoyole(柔宇科技)という企業が、世界で初めてディスプレイの折り畳みを実現したスマートフォン「FlexPai」を発表したことで、大きな驚きをもたらした。
その後の2019年2月には、韓国のサムスン電子が「Galaxy Fold」、中国のファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)が「HUAWEI Mate X」と、相次いでディスプレイを折り畳めるスマートフォンを発表。スマートフォンメーカー大手が次々と新機種投入を発表し、折り畳みスマートフォンは一気に注目の的となったのである。
ディスプレイ折り畳みの波はスマートフォンにとどまらず、パソコンにも広がってきている。2019年5月には、レノボがディスプレイを直接折り畳める「ThinkPad」ブランドのノートパソコンを開発していることを公表。2020年の発売を目指し、開発を進めている最中だという。
また、折り畳めるというまではいかないものの、中国ZTE(中興通訊)の関連会社であるnubia(努比亚)が、2019年2月にディスプレイを折り曲げられるスマートウォッチ「Nubia Alpha」を発表したことも話題となっている。
こうして見ると、ディスプレイを折り畳める、あるいは折り曲げられるデバイスが、いかに急増しているかが分かるだろう。

実現の鍵は「有機EL」と「ヒンジ」
2枚のディスプレイを使って折り畳める機構を実現したスマートフォンやパソコンなどは、これまでもいくつか存在した。スマートフォンでいえばNTTドコモから発売された「MEDIAS W」や「M」、タブレットであればソニーがかつて提供していた「Sony Tablet P」、パソコンであればややコンセプトは異なるが、液晶と電子ペーパーの2画面構成を採用したレノボの「Yoga Book」シリーズなどが、その一例として挙げられる。
だが先に触れたデバイスは、いずれも1枚のディスプレイを、直接“ぐにゃり”と折り曲げられる機構を実現しているものだ。
この機構を実現している要素の1つが、… 続きを読む