Bizコンパス

旅行予約サイト「エクスペディア」が狙うものとは
2017.08.29

急成長するウェブサービスの戦略

旅行予約サイト「エクスペディア」が狙うものとは

著者 小山田 明人

 旅行予約サイト「エクスペディア(Expedia)」が好調だ。

 2017年第2期(4~6月)決算では、グループの売上が前年度比18%増の25億8,600万ドル(約2,824億円)を記録。株価も7月には過去最高の159.5ドル(約1万7千円)となり、2010年当時と比べて7倍以上の値を付けている。

 なぜ、ここにきてエクスペディアは急激に業績を伸ばしているのだろうか。そのビジネスモデルを紐解いていく。

 

ユーザーに「直接売る」販売形態で利益を拡大

 エクスペディアは、世界を代表するOTA(Online Travel Agent)のひとつ。OTAとはインターネット上でホテルや航空券、現地のオプショナルツアーの予約が可能なサービスである。

 OTAは、「ユーザー(旅行者)が誰と契約するのか」によってマーチャント型とエージェンシー型の2タイプに分類される。その違いは、マーチャント型は「商人」、エージェンシー型は「代理店」という、元の言葉の意味を捉えるとわかりやすい。商人は直接ユーザーと売買契約を結び利益を得るが、代理店はユーザーとサプライヤー(ホテルなど)を結びつけ、手数料を受け取ることで成り立っている。

 つまり、マーチャント型の場合、旅行者はOTAと契約することとなり、支払いは事前に行われる。それに対しエージェンシー型では、旅行者がホテルや航空会社などと直接契約することになるので、支払いは現地で行われる。

 エクスペディアはこれまで、マーチャント型を中心とするビジネスモデルをとってきた。自社で宿泊施設の部屋を仕入れて、それを直接ユーザーに売る。相場を見ながら自由に価格を設定できるマーチャント型のメリットを生かし、業績を伸ばしてきたのだ。

 

エージェンシー型移行の裏にライバルの存在が

 しかしエクスペディアは、ここ数年エージェンシー型のサービスにも力を入れはじめている。同社は2012年にはホテルの比較サイト「Trivago(トリバゴ)」を、2015年には同業の競合サイト「Orbitz(オービッツ)」を買収。これらはいずれもエージェンシー型となる。

 エクスペディアはなぜ、ここまでの利益拡大をもたらした勝因ともいえるマーチャント型に特化する姿勢を貫かず、わざわざ利益率の低いエージェンシー型を取り入れ始めたのだろうか。その背景を探ると、Booking.comというライバルの存在が浮かび上がってくる。

 米国発祥のエクスペディアがマイクロソフトの一部としてスタートしたルーツを持つのに対し、Booking.comは… 続きを読む… 続きを読む

続きを読むには会員登録が必要です

小山田 明人

小山田 明人

株式会社ネクストアド代表取締役

1982年生まれ。神奈川県横浜市出身。「食えるライターを育てる」をビジョンンに掲げライティングチームを結成、ビジネス、ITを中心に様々なコンテンツに記事を寄稿。自身でもスクールキャッチという教育系ポータルサイトを運営する。経営する学習塾では中高一貫校の作文指導に携わる。http://www.nextad.co.jp/

関連キーワード

SHARE

あなたへのおすすめ

大手旅行会社に見る「ナビダイヤル」導入のメリット

2014.03.28

事例に学ぶ、電話受付業務の効率化とコスト削減

大手旅行会社に見る「ナビダイヤル」導入のメリット

一度の旅行でたくさんの世界遺産を楽しもう!

2014.07.08

いつかは行きたい世界遺産ガイド第1回

一度の旅行でたくさんの世界遺産を楽しもう!

ヨーロッパ寝台列車の旅で心をリフレッシュ

2015.09.07

一度は体験してみたい、優雅な鉄道旅行

ヨーロッパ寝台列車の旅で心をリフレッシュ

フリー画像素材サイト「いらすとや」人気の理由

2016.11.26

ビジネスにも使えるイラスト素材集

フリー画像素材サイト「いらすとや」人気の理由