夏のレジャー「キャンプ」の新しい楽しみ(第1回)

キャンプ人口が4年連続で増加中、その理由とは?

2017.07.24 Mon連載バックナンバー

 日本では今、キャンプを嗜む人が、年々増加している。

 今年7月11日に発表された「オートキャンプ白書2017」によれば、オートキャンプ参加人口(自動車を使ったキャンプを1年間に1回以上キャンプに参加した人)は、2012年の720万人から4年連続で増加し、2016年には830万人に達した。2004年以降、10数年にわたって700万人台という状態が続いていたキャンプ人口は、本格的に上昇に転じたといえそうだ。

 なぜキャンプ人口は上昇しているのか。キャンプの歴史を振り返りながら、その理由に迫る。

 

「キャンプ場はトイレが汚い」昔の子供にはマイナスの思い出だった

 「現在、キャンプ市場を牽引しているのは、主として90年代に子供だった人たちです」と話すのは、日本オートキャンプ協会 事務局次長の堺廣明氏だ。

 1990年代、家族でキャンプに出かける「ファミリー・キャンプ」の大ブームが巻き起こった。ピークの96年には、キャンプ人口が1,580万人に達していた。堺氏によれば、現在の20代の約6割、30代の約4割がファミリー・キャンプを体験しているという。

 「この90年代に子供だった世代に、キャンプが楽しい思い出として心に残っていたことは重要です。この上の、80年代に子供だった世代には、キャンプに対して悪い印象を持っている人が少なくありません」(堺氏)

 80年代に子供がキャンプ嫌いになった主な原因は、キャンプ環境にある。80年代までのキャンプ場では、汲み取り式で蜘蛛の巣だらけのトイレは珍しくなかった。炊事場ではお湯が出ず、屋根がなかったり、虫だらけだったり。芝生のテントサイトは少なく、テントに入れば、地面はゴツゴツしていて寝苦しい。学校行事や子供会などでキャンプに行くと、キャンプ嫌いになって自宅に戻ってくる子供も少なくなかった。

 しかし、それが90年前後になると一変した。

 

家電も使える「高規格キャンプ場」の増加で楽しい思い出に

 90年代に入ると、自治体や国がキャンプ場の整備に力を入れ始めた。たとえば国土交通省(当時の運輸省)は、「家族旅行村構想」を打ち立て、環境省は自然とのふれあいを目的に国営公園などにキャンプ場を積極的に誘致した。各自治体も観光客誘致のひとつの手段として、キャンプ場の整備に力をいれた。

 結果として、キャンプ場でも水洗トイレが当たり前になり、家庭用の電化製品が使える電源サイトも増えたため、電気釜でごはんを炊く人もでてきた。炊事場ではお湯が出るし、敷地内にシャワーやお風呂もある。自治体の横並び意識も後押しとなり、いわゆる「高規格」のキャンプ場が続々と誕生した。三菱パジェロをはじめ、キャンプに出かけたくなるようなRV車が続々と登場したことも、キャンプ・ブームを後押した。

 高規格のキャンプ場では、日常生活とさほどかわらない生活ができので、当時の子供たちに、キャンプは家族団らんの楽しい思い出となった。キャンプが特別なものでも、大変なものでもない、普通のレジャーだと捉える層が育ってきたのだ。

 その世代が大人になり、再びキャンプに接することになるのだが、そのきっかけは意外なところにあった。

 

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竹内三保子

竹内三保子

1983年西武百貨店入社。紳士服飾部、特別顧客チームを経てフリーライターに。その後、編集プロダクション・カデナクリエイトを設立。共著に『図解&事例で学ぶビジネスモデルの教科書』『課長・部長のための労務管理問題解決の基本』などがある。

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