「通常価格9,980円のところ、今なら3,000円引きの6,980円です!!」

 テレビショッピングなどで、このようなフレーズを聞くことは多いでしょう。これは、2つの価格を同時に見せる「二重価格表示」と呼ばれ、価格を安く見せるために有効な広告手法のひとつです。

 しかし、自社の製品にこのような広告表示を行うには、細心の注意が必要です。なぜなら、二重価格表示は使い方を間違えると「不当表示」とされ、景品表示法の違反になるからです。

 実際に平成29年度には、アマゾンジャパンが不当な二重価格表示を行ったことにより、消費者庁から再発防止を命じる行政処分「措置命令」を受けています。

とはいえ、二重価格を表示すること自体は、景品表示法に違反するものではありません。それでは、どのような二重価格表示が「不当」なのか? その境界を探ってみましょう。

 

値下げ前の価格は正しい情報か?

 二重価格で景品表示法違反と指摘されないためには、値下げ前の価格と値下げ後の価格が、法律でどのように規定されているかを認識する必要があります。

 たとえば冒頭で挙げた「通常価格9,980円のところ、今なら3,000円引きの6,980円です!!」と広告で表示する際、6,980円は「販売価格」、9,980円は「比較対象価格」と呼ばれます。

 この比較対象価格は、(1)過去の販売価格、(2)他店の販売価格、(3)メーカー希望小売価格のいずれかである必要があります。しかし、比較対象価格がこれらに当てはまらず、比較対象価格であるための明確な根拠を持たない場合は、「不当な二重価格表示」となってしまう可能性があります。

 前述したアマゾンジャパンの事例をみると、甘酒1本の価格を「参考価格3,780円 価格956円」と表示していました。アマゾンジャパン側はこの参考価格を、「メーカー希望小売価格」であると認識していました。

 ところが実際は、3,780円は甘酒「6本分」のメーカー希望小売価格であり、1本分の価格ではなかったのです。結果として、メーカー希望小売価格に比べて、あたかも著しく安く販売されているかのように見える不当表示「有利誤認」に該当したため、措置命令を受けました。

 

「通常価格」と表示するためにはある程度の期間が必要

 同様に、2017年末に措置命令を受けたイエローハットの事例も見てみましょう。同社はチラシ広告に「当店通常価格6万9,800円のカーナビが、5万4,800円」と表示していました。ここでいう「通常価格」は、過去の販売価格を比較対象とした二重価格表示です。

 ところが消費者庁は、… 続きを読む

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鮫島 涼

鮫島 涼

株式会社ネクストアド所属の車ライター。車・バイク雑誌の編集者、車広告の審査会社を経てライターとして活躍。現在は、F1の取材や大手中古車販売企業メディアのライティングを担当。

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