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ボーナスは?交通費は?今から始める「同一労働同一賃金」対策
2019.11.20

知っておきたい法改正のポイント第14回

ボーナスは?交通費は?今から始める「同一労働同一賃金」対策

著者 田中 靖子

 働き方改革の目玉の一つである「同一労働同一賃金」の制度が、2020年4月から始まります(中小企業には2021年4月から適用)。

 この制度に罰則は定められていませんが、違反すると損害賠償請求の対象となります。企業イメージにマイナスとなるおそれがあり、訴訟になった場合にはコストもかかります。

 このようなリスクがあるにも関わらず、新制度への対応を完了している企業は2019年9月時点でわずか39.3%です。新制度に向けて、企業は何をするべきなのでしょうか?今回は、同一労働同一賃金の基本ルールを解説したうえで、企業が取り組むべき最低限の対策を紹介します。

 

「労働力不足」「働けない人の増加」を解決する起爆剤

 同一労働同一賃金のルールとは、「同じ業務を担当する従業員には、正社員であれアルバイトであれ、同一の賃金を支払わなくてはいけない」というルールです。

 なぜ、このようなルールが導入されたのでしょうか?

 現在の日本は、「労働力不足」と「働きたくても働けない人たちの増加」という、矛盾する2つの課題を抱えています。少子高齢化によって労働人口が減少する一方で、育児や介護によって正社員として働くことができない人が増えています。

 総務省の労働力調査によると、2019年7月から8月期の失業者数は179万人、非正規社員は2,189万人にものぼります。非正規社員は正社員の65.8%の給与しか受け取っていないため(厚生労働省の調査)、非正規社員の労働意欲が低下して、ますます労働人口が減少するという悪循環を生み出しています。

 政府は、この2つの課題を解決する手段として、同一労働同一賃金の導入に踏み切りました。非正規社員の労働環境が改善されると、柔軟に働くことができる人が増えて雇用市場が活性化し、労働力不足が解消されることが期待されています。

 

新ルール対応のための2ステップ

 それでは、新制度導入に向けて企業は何をすればよいのでしょうか? 企業が取るべき対策には、2つのステップがあります。

 まず、労働者の雇用体系を把握します。社内に短時間労働者(パート社員やアルバイト)や短期労働者(派遣社員や再雇用労働者)がいるかを調べたうえで、給与体系に正社員との差があるかどうかを確認します。待遇に差が無ければ、ここで終了です。

 給与体系に差がある場合は、「差をつけることに合理的な理由があるか」を検討します。同一労働同一賃金のルールでは、「不合理な差別」を禁止していますが、「合理的な理由によって区別をすること」は合法としています。

 例えば、正社員とアルバイトに同様の接客業を担当させている場合… 続きを読む… 続きを読む

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田中 靖子

田中 靖子

法律家ライター

東京大学卒業後、2009年に司法試験に合格。弁護士として知的財産業務、会社設立等のビジネス関連の業務を扱う。現在は海外に在住し、法律関連の執筆や講演を行っている。

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