この夏、お笑い芸人が反社会的勢力のパーティーに参加したというニュースが大きな話題となりました。
反社会的勢力のリスクは、芸能界に限りません。暴力団等の反社会的勢力は、巧みに身分を隠して一般企業に近づき、ビジネス取引をもちかけることがあります。一度反社会的勢力と関係を持ってしまうと、企業に黒いイメージが付いてしまい、顧客からの信用を失って契約解除される等、大きな損失につながるおそれがあります。
このようなリスクがあるにも関わらず、 全国暴力追放運動推進センターの調査によると、政府が策定した「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」に沿った取り組みを行っている企業はわずか41.8%であり、そもそも指針を「知らない」と回答した企業は47.6%にものぼります。
東京都の暴力団排除条例は、2019年6月に改正されたばかりです。今回は、新しい法令のルールに基づき、反社会的勢力のリスクを避けるためにビジネスリーダーが気をつけるべき点を紹介します。
「知っていた」「知らなかった」が分かれ目となる
暴力団排除条例では、反社会的勢力とのあらゆる関わりを禁止しています。例えば、印刷業者が暴力団関係者の名刺を印刷することや、暴力団関係者にレンタカーを貸し出すことを違法としています。たとえ相場価格の印刷代やレンタカー代を受け取ったとしても、「暴力団への利益供与」として罰せられます。
ただし、違法性を問われるのはあくまで「相手が暴力団関係者であることを知っていた場合」に限られます。つまり、「相手が暴力団関係者であることを知らなかった」という証拠を十分にそろえておけば、罰則を受けるおそれはありません。
しかし、「知らなかった」という立証は容易ではありません。少しでも疑いがある場合には、最寄りの警察や暴力追放運動推進センター(暴追センター)、警視庁組織犯罪対策第三課に問い合わせて、相手側が暴力団関係者か否かを確認することが得策です。
警察や暴追センターから「シロ」との回答を得ていれば、将来的に取引相手が反社会的勢力であることが判明した場合であっても、「知らなかった」という主張を支える証拠となります。
企業にとって悩ましいのは、… 続きを読む