公正取引委員会は、2019年4月17日、「デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等の実態調査」について中間報告を行いました。
デジタル・プラットフォーマーとは、通販サイトやSNS等のインターネット上のインフラを提供するIT企業のことです。たとえば、「GAFA(ガーファ)」と呼ばれる、米国のグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社も、デジタルプラットフォーマーとなります。
なぜ公正取引委員会は、このタイミングで彼らデジタルプラットフォーマーの調査を始めたのでしょうか?今回は、デジタル・プラットフォーマーに関する法規制の動きについて国際情勢を交えて紹介します。
デジタル・プラットフォーマーを規制する流れは世界中に
デジタル・プラットフォーマーは、革新的なサービスを次々と生み出し、利便性の高いシステムを提供することで、世界中でユーザー数を伸ばし続けています。
しかしその一方で、彼らデジタル・プラットフォーマーと取引をする中小企業やベンチャー企業は、一方的に不利な契約条件を押し付けられたり、高額な利用料金を負担することに不満を抱えています。
特にヨーロッパでは、従前から米国のIT企業に対する反発が強く、GAFAの独占が進むに連れて、規制が強く叫ばれるようになりました。そこでEU議会は、2019年2月、「オンライン・プラットフォーマーの透明性・公正性促進法」の法案に合意し、GAFAの独占にストップをかけました。
2018年には、オーストラリア、トルコ、ドイツの連邦カルテル庁が、各国でGAFAの実態について調査を開始し、GAFAの動きを厳しく監視しています。
このような国際的な流れを受けて、日本政府も動き出しました。2018年7月、経済産業省、公正取引委員会、総務省は、合同で「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」を設置し、彼らに対する法規制について審議を始めました。
ルールや料金が“一方的”に変わってしまう
上記の政府の取り組みの一環として、2019年1月から、デジタル・プラットフォーマーに関する実態調査が行われました。
調査の対象とされたのは、アマゾンや楽天市場、ヤフーショッピング等の通販サイトに出店する811社と、スマートフォンのアプリストアに出店する56社です。
この調査によって、プラットフォーマーを巡る問題が浮き彫りとなりました。
最も問題視されたのが、… 続きを読む