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クラウド上の“デザイン”も規制対象に!「意匠法」改正で変わること
2019.04.04

知っておきたい法改正のポイント第11回

クラウド上の“デザイン”も規制対象に!「意匠法」改正で変わること

著者 田中 靖子

 2019年3月1日、「意匠法」の改正案が閣議決定されました

 「意匠法」とは、ペットボトルの形状や自動車の車体デザインなど、工業的なデザイン=意匠権を保護する制度です。同法に基づいて、意匠権を特許庁に登録することで、意匠権者はそのデザインが独占的に利用できます。高度な技術を保護する「特許」や、芸術的な表現を保護する「著作権」とは異なり、比較的登録のハードルが低い制度です。

 今回の改正では、デジタル技術によるデザインの保護を強化し、企業のブランドイメージを高めることを目的としています。今年の通常国会で改正法が成立した場合には、早ければ2020年春から施行される見通しです。さらに今回の改正によって意匠権の範囲が拡大されるため、よりビジネスシーンで登録しやすい制度となります。

 法改正により、意匠権はどのように変わるのでしょうか? 具体的に見ていきましょう。

 

ネットワーク上の画面デザインも保護対象に

 最も大きなポイントは、ネットワーク上の画面デザインが追加される点です。

 現在の意匠法では、物品(有体物)に記録されたデザインのみが保護の対象とされています。このため、たとえば炊飯器や冷蔵庫にインストールされたタッチパネルは意匠として登録できるものの、ネットワークを通じて表示が変化する、いわゆる「スマート家電」のタッチパネルは登録できない、という問題がありました。

 しかし、IoTの普及やクラウドサービスの発達により、画面デザインを保護するニーズが飛躍的に高まっています。実際、欧米や中国、韓国では既にネットワーク上の画面デザインを保護する方向に舵を切っており、日本では対応が遅れていると海外から批判されていました。

 そこで今回の法改正により、ネットワークを通じて提供される、クラウド上の画面デザインについても、意匠権の対象に追加されることになりました。

 さらに、「有体物への記録」という枠組みが撤廃されることによって、「瞬間的に表示される画像」も、新たに保護対象に入ります。仮想現実(VR)や拡張現実(AR)で投影される画像や、プロジェクションマッピングで壁や道路に投影される画像も、今後は意匠として登録できます。

 

空間デザインも保護対象に

 次に重要なポイントとして、店舗やオフィスビル等の「空間デザイン」が追加されます。

 現在の意匠法では、登録の対象は電子機器や生活用品等の「動産(物品)」に限定されており、不動産は登録できません。

 しかし近年は、企業のブランド価値を高めるために、店舗の内装を独創的なものにしたり、インパクトのあるオフィスビルを建てることで、宣伝効果を上げる企業もあります。このような企業努力を無駄にしないためにも、空間デザインを保護する重要性が高まっています。そこで今回の改正によって、建築物の外観や内装を意匠として登録できるようになります。

 注目すべき点は、建物の外観のみならず、… 続きを読む… 続きを読む

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田中 靖子

田中 靖子

法律家ライター

東京大学卒業後、2009年に司法試験に合格。弁護士として知的財産業務、会社設立等のビジネス関連の業務を扱う。現在は海外に在住し、法律関連の執筆や講演を行っている。

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