2016年12月、公正取引委員会は下請法運用基準の改正を発表しました。
今回の改正は、これまで適用関係が曖昧だった取引形態についても監視の目を光らせたものになっています。下請法は違反すると社名が公表されることもあるため、もし違反してしまうと企業としての信頼を失墜させることになりかねません。
これから年度末から年度初めと取引先との契約更新の機会が増えますが、自社の社内規程が下請法を遵守したものになっているか、再点検してみましょう。
資本金1千万円超の企業は、下請法の対策は“必須”である
下請法とは「下請代金支払遅延等防止法」の略称ですが、その名前のとおり、下請代金の支払いを渋るような会社を取り締まる法律です。この法律で定められた「下請取引」の定義は広く、たとえば資本金1千万円超の会社であれば、「下請取引」に該当する取引がひとつはあるはずです。
具体的な例を挙げると、ソフトウェアを開発している資本金2千万円の会社が、開発工程の一部を個人プログラマーに外注するような場合、これは「下請取引」に該当するため、下請法で定められたルールを守る必要があります。
また、「発注」行為は、書面で行うように規定されています。つまり、口頭での発注は下請法違反です。さらに、発注書を含む取引内容を記載した書類を2年間保存する義務があります。そして、下請代金の支払期日は、成果物の受領後60日以内に設定しなければいけません。
このほかにも、成果物の受領拒否や返品といった行為が禁止されていますので、発注担当者の独断や軽はずみな行為が法律違反にまでつながっていくことを認識しておく必要があります。
未払いの代金が利息で10億円に
下請法に違反することは、会社経営を揺るがすことにもなりかねません。公正取引委員会では年間約25万社に書面調査を実施し、その結果をもとに約6千社に下請法違反の指摘と改善指導を行っています。
改善指導のひとつとして、未払いとなっている「下請代金」の支払い指示があります。法で定められた「年率14.6%」の遅延利息も含めて支払うことになりますので、支払額が大幅に膨れ上がっていきます。過去には10億円… 続きを読む