外食産業が苦戦を強いられている。特に業界を牽引する大手チェーンは店舗の閉鎖が相次ぐなど、縮小に向かう企業も。その一方で、売上高を順調に伸ばし、顧客満足度で大手を凌駕する地方チェーンの成長が目覚ましい。資本や出店規模、従業員数などで劣る“非大手”が根強い人気を誇る理由とは?その戦略に迫る。
大手外食チェーンの苦戦が続く中、存在感を増す地方外食チェーン
日本フードサービス協会の調査によると、外食産業の利用客数は2013年から3年連続で減少。近年はマクドナルドやクリスピー・クリーム・ドーナツの閉店が相次ぎ、すかいらーくも約310店舗で24時間営業の取りやめを発表するなど、大手外食チェーンの規模縮小が話題になっている。
たしかに、母数となる人口が減少していることや、個人消費の低迷といった日本経済の影響を受けている側面は少なからずある。しかし、対照的に業績を伸ばし続けている地方チェーンの存在を見逃すことはできない。
オリコン日本顧客満足度ランキングで「ステーキ・ハンバーグファミリーレストラン」部門1位の「炭火焼きレストランさわやか」、「和食ファミリーレストラン」部門1位の「ばんどう太郎」は、いずれも地域に根ざしたローカルチェーン。圧倒的な顧客満足度を誇り、利用客数や売上高も右肩上がりだ。外食産業が低迷する中で、一体どのような方法で消費者の心を掴んでいるのだろうか。
調べてみるとそこには大手飲食チェーンに失われた個性や顧客との関係づくり、そして他業種にも通じる“非大手”ならではの戦略が明確に打ち出されていることがわかった。
勝ち望みのある商品と地域に絞る「ランチェスター戦略」
「炭火焼きレストランさわやか」は、静岡県西部を中心に静岡県内で約30店舗を展開するハンバーグレストランだ。看板メニューは牛肉100%の炭火焼きハンバーグ「げんこつハンバーグ」。丸い俵型で中まで火が通っていない状態で提供され、店員が目の前で半分にカットし、熱々の鉄板に押しつけて焼き上げてくれる。
「さわやか」の強みは、料理のおいしさや見た目の楽しさはもちろん、その… 続きを読む