法改正の波に乗り遅れるな!(第4回)

民法改正で「時効」短縮、残業代やツケはどうなる?

2017.07.26 Wed連載バックナンバー

 120年ぶりの大改正となる民法が、2017年6月2日付で公布されました。前回は「約款」に関する変更内容について取り上げましたが、今回は企業のサービスに密接に関係する「時効」について取り上げます。今回の改正により、時効までの期間はどのように変わったのでしょうか。

 

民法改正で「時効」が10年から5年に短縮する理由とは?

 そもそも時効とは、「ある出来事から一定の期間が過ぎたとき、もとの状態がどうであったかにかかわらず、現在の事実を重視して法律関係を決める」とする制度です。

 たとえば、日常会話のなかで「時効だから話すけど、あのとき冷蔵庫のケーキを食べたのは私です」という表現をすることがあります。この表現は、刑法においては公訴権や刑罰権が消滅する「刑事法上の時効」にあたる考え方です。

 これに対して、「民事法上の時効」というものが存在します。民事法上の時効にはいくつかの種類があります。まずは一定期間、物を占有することによって、その所有権を取得することになる「取得時効」、続いて、金銭の支払いなどをしないまま一定の期間が過ぎた場合に、債権が消滅する「消滅時効」があります。今回の民法改正で見直された項目の一つが、この「消滅時効」の期間です。

 これまで、債権の消滅時効には「権利を行使できるときから10年」という期間が設けられていました。しかし、今回の改正で「権利を行使できることを知ったときから5年」という別の期間が加わりました。「行使できるとき」という客観的な事実だけでなく、「行使できることを知ったとき」という主観的な事実によって時効期間の計算がスタートすることになりました。つまり、従来よりも早く時効が成立することになります。

 そもそも時効という制度は、法律関係(ある人とある人の間にある法的な関係のこと)が長期間にわたって不確定な状態では、安心して社会生活を送れないという考え方が前提になっています。今回の改定は、法律関係をより早期に安定させるための意味があるのです。

 

「飲み屋のツケは1年、病院のツケは3年で時効」は廃止

 一方で、これまで存在していた「短期消滅時効」という制度が廃止されています。短期消滅時効は、業種ごとに債権を分類し、それぞれに異なる時効期間を設けるというものです。たとえば、飲食店や旅館は1年、美容室や学習塾は… 続きを読む

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北川 ワタル(studio woofoo)

北川 ワタル(studio woofoo)

公認会計士/税理士

2001年、公認会計士第二次試験に合格後、大手監査法人、中堅監査法人にて金融商品取引法監査、会社法監査に従事。上場企業の監査の他、リファーラル業務、IFRSアドバイザリー、IPO(株式公開)支援、学校法人監査、デューデリジェンス、金融機関監査等を経験。2012年、株式会社ダーチャコンセプトを設立し独立。2013年、経営革新等支援機関認定、税理士登録。スタートアップ企業の支援から連結納税・国際税務まで財務・会計・税務を主軸とした幅広いアドバイザリーサービスを提供。

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