日本を代表する商業地の東京・銀座で、百貨店の改装や建て替えが相次いでいます。2020年の五輪開催を見据えたテコ入れの一環ですが、「爆買い」と称された訪日外国人による特需が一段落した今のタイミングで、本来業務の強化を図ったり、百貨店としての事業形態を根本から見直したりする動きも出ています。
最近のリニューアル事例から見えてきた、銀座の百貨店の未来像を探りました。
高額免税品が売れなくなった理由とは
銀座を代表するスポット・銀座四丁目交差点に面した百貨店「銀座三越」は、三越伊勢丹ホールディングスが基幹と位置付ける東京都内3店舗のひとつです。売上高は約850億円(2016年3月期)。昨年秋にリモデル(改装)を行い、年商1,000億円の大台達成を目指しています。
このリモデルで大きなトピックとなったのが、都内初の空港型市中免税店「ジャパン デューティー フリー ギンザ」の新設でした。8階ワンフロアを確保して高級バッグなどの海外ブランドが軒を連ねました。
しかし現在、このフロアは客足もまばらです。今年3月、複合商業施設「東急プラザ銀座」内にオープンした「ロッテ免税店銀座」とあわせて、爆買い収束の象徴としてメディアに採り上げられたほどです。
ジャパン デューティー フリー ギンザは、訪日客にとってやや不便な面がありました。購入した免税品を羽田・成田いずれかの空港で受け取る仕組みのため、国内周遊ルートで多用される関西国際空港からの出国に対応できないといった制約があるからです。
ただ、その不便さにもまして客足を遠のかせたのが「円高」と「関税」です。
訪日客の7割超を占める東アジアの通貨(人民元、韓国ウォン、台湾ドル、香港ドル)は、ピークの昨夏からそろって2割ほど下落。さらに今年4月から高級腕時計を中国に持ち込む際の関税が、以前の倍にあたる60%に引き上げられたのも打撃となりました。同じ時期に中国政府は一部の品目で関税を引き下げましたが、その恩恵を受けたのは化粧水や毛穴パックといったドラッグストアの商材ばかり。日本の百貨店にとっての「ボーナスタイム」は、こうして幕を閉じたのです。
「上質な定番品」に磨きをかける銀座三越
爆買いという特需の収束を受けて、銀座の百貨店は次のターゲットをどこに見いだしているのでしょうか。… 続きを読む