三菱自動車とスズキの2つの自動車会社が、軽自動車の燃費測定方法において不正を行っていたことが明らかになりました。しかし、両者の「不正」の内容は、似て非なるものがあります。
今回は、三菱自動車とスズキの燃費不正の違いについて解説します。
「あえて」規定とは違う測定法を用いた三菱自動車
三菱自動車が行っていた燃費測定についての不正は、2つあります。1つ目は、国が定める燃費データ測定方法とは異なる方法で長年計測を続けていたことです。
国は、自動車の燃費データ測定に際して「惰行法」を使うよう規定しています。惰行法とは、1991年にヨーロッパで採用された燃費測定方法です。これは、自動車のギアをニュートラルにして自動車を走行させて、その速度が時速10キロメートルになるまでの時間を計ることで、抵抗値(走行時に車が受ける抵抗。少ないほうが燃費が良い)を計算する方法です。
これに対して、三菱自動車は「高速惰行法」という測定方法を使っていました。高速惰行法は、主にアメリカなどで使われている燃費測定方法です。自動車を急激に減速させて、何秒後に10km減速するかを測定して燃費測定する方法です。惰行法より高速惰行法の方が燃費データが良くなるので、三菱自動車はあえて高速惰行法を採用していました。
2つ目は、測定されたデータそのものを改ざんしていたことです。そもそも高速惰行法を採用して、惰行法よりも良い燃費データを算出しておきながら、その結果に対してさらに手を加えて、結果をよりよく見せるためにデータ改ざんしていたのです。
このように、三菱自動車の不正は、燃費測定方法を守らなかったことだけではなく、データ改ざんもしていたという2重の問題があります。三菱自動車が報告していた燃費データは、実際よりも5%~15%も良くなっていたと言われています。
「つい」規定の測定法を採用しなかったスズキ
スズキの場合にも、国が定める「惰行法」と異なる測定方法で燃費測定をしていました。このことに限ると、三菱自動車と同じです。しかし三菱自動車とスズキには、大きな違いがあります。
違いの1つ目として、… 続きを読む