Googleが巨大企業へと成長してきた経営史を紹介しながら、同社の広告・SEO・情報技術の将来を探る本連載。第2回目は、「産学連携」です。
大学で生み出される有用な知識を、産業の発展に結びつけようとする政策は、どの国でも重視されていますが、その最大の成功例がGoogleです。Googleは同大学の関係者からさまざまな支援を得たことで大きく成長し、スタンフォード大学もGoogleから約400億円相当の株式を受け取りました。
スタンフォード大学と2人の創業者の関係を振り返りながら、Googleの成長に大学が果たした役割を探ります。
“ゴミあさり”をしていたGoogle創業者を大学が支援
Google創業者の1人、ラリー・ペイジ(Larry Page)は、スタンフォード大学の博士課程に在学中、Webページの重要度をランキングする「ページランク」と呼ばれる仕組みを考え出しました。
ページランクは、ユーザーがランダムにWebサイトを訪問し、ランダムにリンクをクリックしていくと、最終的にどのWebページにたどり着くか、という確率を元としています。Webページの巡回をするWebサーファーが、ランダムに行動するという仮定をしているため、このページランクは、ランダム・サーファー・モデルと呼ばれました。
このページランクの商標はGoogleが所持していますが、特許(米国特許6,285,999号)は今でもスタンフォード大学が取得したまま、Googleにライセンスされています。
1995年、ラリーは同じくスタンフォード大学でWebサイトからデータを集めて分析する研究をしていたサーゲイ(セルゲイ)・ブリン(Sergey Brin)と意気投合し、サーチエンジンの共同研究を始めます。世界中のWebサイトをクロール(巡回)して、スタンフォード大学のコンピュータにそのデータをダウンロードするのです。
1996年にはサーチエンジンの初期モデルがほぼ完成し、学内で広く使われるようになりました。しかし、その完成にはコンピュータがいくらあっても足りず、大学内で使われていないコンピュータを無断で拝借したとの逸話まで残っています。
彼らがコンピュータの“ゴミあさり”をしていることに気づいた大学教授は、… 続きを読む