「ナンバーワン・ナンバーツー戦略」や、大規模なM&A、人材育成方法「ワークアウト」などで知られる、「20世紀最高の経営者」ことジャック・ウェルチ。
今回は彼が自らの半生を振り返り、自身の経営戦略について語った『ジャック・ウェルチ わが経営』から、ジャック・ウェルチの経営姿勢を読み解きます。さらに、彼の戦略をより深く知るために抑えておくべきビジネス書も併せて紹介していきます。
20世紀最高の経営戦略とは
発明王トーマス・エジソンが作った会社。アメリカを代表する世界最大のコングロマリット(複合企業)。ダウ平均株価の構成銘柄のなかで、1896年以来、唯一残っている企業。それがゼネラル・エレクトリック社(GE)です。
今回ご紹介するのは、このGEの中興の祖であり、「20世紀最高の経営者」と称されたジャック・ウェルチの自伝本『ジャック・ウェルチ わが経営』(上・下巻/日本経済新聞出版社)です。
偉大な経営者の本は、時に作りがずさんで、残念な結果に終わることも多いのですが、幸いこの自伝は高評価を得て、ベストセラーとなりました。本書のなかでウェルチは、自らの半生を振り返り、CEO就任以来実行してきた経営戦略を語っています。
「ナンバーワン、ナンバーツー戦略」と「ライン縮小」
有名な「ナンバーワン・ナンバーツー戦略」。これは、「ナンバーワンかナンバーツーでなければ、再建か売却か、さもなければ閉鎖する」という戦略で、そのわかりやすさから広くビジネス界で受け入れられました。「いざ実行に移すとなると、感情との折り合いをつけるのが考える以上に難しい」と本人も言っているように、実行するのは大変です。しかし、経営のセオリーから言えば適切な考えでしょう。
この戦略の正しさを裏付けてくれるのが、… 続きを読む