2019年10月に携帯電話事業者として新規参入を予定している楽天モバイルだが、当初は利用者を5000人に絞り、無料でサービスを提供するという。果たして、 なぜこのような事態になってしまったのだろうか。
新技術で強気の姿勢を打ち出した楽天モバイル
世間では消費税増税が大きな話題となるであろう2019年10月、携帯電話業界でも大きな動きがある。それは「楽天モバイル」の新規参入だ。
楽天モバイルはもともと、MVNO(仮想移動体通信事業者)としてNTTドコモやKDDIのネットワークを借りてモバイル通信サービスを提供してきた。だが2017年末に携帯電話事業への参入を打ち出すと、2018年6月には4G用の電波免許を取得。楽天モバイルの携帯電話事業参入が正式に決定した。
その楽天モバイルの親会社である、楽天の三木谷浩史代表取締役社長兼会長が、参入に当たって打ち出している言葉の1つが、携帯電話の“民主化”である。これはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3陣営による寡占化が進んでいることを指しての言葉だ。競争が停滞傾向にあり通信料金の引き下げが進まない中、楽天モバイルが参入し高速通信を安価に利用できるようにすることを狙っているのだ。
そしてもう1つの言葉が、携帯電話業界の“アポロ計画”である。楽天モバイルはゼロからネットワークを構築するため過去のしがらみがないという利点をアピールしている。具体的には、モバイルネットワークに専用の機器を用いるのではなく、汎用のサーバーとソフトウェアを用いてネットワークを構築する「ネットワーク仮想化」の技術を全面に導入するという、新しい試みを実施しているのだ。
ネットワーク仮想化によって、ハードウェアの調達コストが安くなるだけでなく、ソフトウェアを更新するだけで新しいサービスに対応できるなど、ネットワーク全体の柔軟性を大幅に高めることができる。それを楽天モバイルでは世界初の月面着陸を実現した「アポロ計画」になぞらえて、実現を押し進めている。
開始当初のサービスは試験サービスと言うべき内容
だがここ最近、その楽天モバイルに関して大きな問題が浮上している。… 続きを読む