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なぜ日本の「5G」導入は、世界から遅れてしまったのか
2019.04.18

ケータイ業界の最新動向に迫る第63回

なぜ日本の「5G」導入は、世界から遅れてしまったのか

著者 佐野 正弘

 次世代モバイル通信規格「5G」。すでに海外では次々とサービスを開始しているが、日本ではサービスの開始が2020年となる予定。この4月10日にやっとドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルに5G電波の割り当てが総務省より発表されたばかりだ。

 なぜ、日本は5G導入で世界に遅れを取ったのだろうか。現状に至った理由と、今後の取り組みに注目したい。

 

先を争って導入が進む5G

 ここ最近、5Gを巡る動向が急速に慌ただしくなってきた。

 5Gのサービスを世界で初めてスタートしたのは、2018年の米国のAT&Tである。当時はまだ独自仕様が一部残った状態での運用であり、利用用途も固定ブロードバンドの代替サービスにとどまっていた。

 だが2019年4月3日、米国ではベライゾン・ワイヤレス(Verizon Wireless)、韓国ではSKテレコムなどの3社が、相次いでスマートフォン向けの5Gサービスを開始したのである。これらの企業は互いに「世界初の5G商用サービス」を名乗るべく、先を越されないようにサービス開始時間を早める争いを繰り広げていた。ベライゾン・ワイヤレスは米2都市のみでのサービス開始となったほか、韓国の3社は現地時間の23時にサービスを開始するなど、異例の幕開けとなった。

 5G対応のスマートフォンに関しても、急速に充実度が高まっている印象だ。ベライゾン・ワイヤレスのサービスでは、モトローラ・モビリティのスマートフォン「moto z3」に、5Gの機能を拡張する「5G moto mod」を装着する形だ。韓国の3社に関してはサムスン電子が2019年2月に発表した「Galaxy S10 5G」を投入しているようだ。

 5G対応スマートフォンは、その他にも各社から次々と発表されている。中でも注目を集めたのは、2019年2月にファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)が発表した「HUAWEI Mate X」であろう。このデバイスは、8インチのディスプレイをコンパクトに折り曲げることできる、いわゆる折り畳み型のスマートフォンだ。ディスプレイが曲げられるというインパクトから発表直後より大きな注目を集めている。

 さらにLGエレクトロニクスは、専用のケースを付けてディスプレイを2つに増やして利用できる「V50 ThinQ」を発表、米国のスプリント・コーポレーションなどが採用を表明している。中国のシャオミ(小米科技)も5G対応ながら、599ユーロ(約7万5000円)とリーズナブルな価格の「Mi MIX3 5G」を発表。幅広い端末が出そろい、各国のキャリアのサービス開始を待つだけという状況になっているようだ。

 端末が出揃ってきた中、今後は米国の他キャリアも次々とスマートフォンに対応した5Gの商用サービスを開始すると見られている。さらに中国、そして欧州のいくつかのキャリアも、2019年中に5Gのサービスを開始することを表明している。そうしたことから通信業界では、2019年が「5G元年」となる風向きが強い。

 

進んでいたはずの日本が出遅れた理由

 そうした中5G元年の波に乗り遅れることが確定してしまったのが、令和元年を迎えようとしている日本である。

 その原因は、… 続きを読む… 続きを読む

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佐野 正弘

佐野 正弘

ライター

福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。著作:『Windows&iPhone連携テクニック Windows 8.1対応』(共著、インプレスジャパン)、『今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ 大事典』(共著、技術評論社)、『ポケット百科 Xperia arc 知りたいことがズバッとわかる本』(共著、翔泳社)など

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