キャリアが携帯電話やスマートフォンを、“実質0円”など、大幅に割り引いて販売する手法は、日本ではすでに一般的なものとなっている。
最近ではこの販売手法に問題があるとして批判の声も多く聞かれるが、実際のところ携帯電話の大幅値引き販売は、これまでどのようなメリットとデメリットをもたらしてきたのだろうか。
スマートフォンが0円で買える仕組みとは?
携帯電話ショップや家電量販店の携帯電話売り場を覗くと、「実質0円」「一括0円」など、スマートフォンが非常に安い価格で販売されているのを日常的に目にする。だが冷静に考えると、本来スマートフォンは0円で購入できるものではないし、iPhoneなど日本で販売されているスマートフォンの多くは非常に性能が高く、世界的に見れば高価なものであるはずだ。
にもかかわらず、そうした端末が極端に安い価格で購入できる理由は、スマートフォンを販売する携帯電話キャリアが、端末価格を値引いているためだ。キャリアは端末価格を大幅に割り引いて契約を獲得する一方、毎月の通信費に割引料金の一部を上乗せすることで、その割引負担分を回収しているのである。
それゆえ、端末を安価に購入したにも関わらずすぐに解約されてしまうと、割引分の料金を回収できなくなってしまう。そこで各キャリアは、購入した端末を他のキャリアのSIMでは利用できないよう「SIMロック」をかけたり、端末を2年間の分割払いにして販売したり、俗に「2年縛り」と呼ばれる2年間の契約を前提とした割引を提供したりすることによって、短期での解約を防ぐ仕組みを構築してきたわけだ。
割引の手法に変化があるとはいえ、端末を大幅に割り引く施策は携帯電話販売初期より実施されており、日本では一般的なものとなっている。だが一方で、最近では過剰な割引販売が横行したことから、この販売手法に対する批判の声も高まっているようだ。
では実際のところ、携帯電話の大幅な割引販売がこれまでの日本の携帯電話市場にどのようなメリットとデメリットをもたらしてきたのだろうか。改めて振り返ってみよう。
割引の恩恵は部品メーカーやアプリ事業者にも
端末を大幅に割引く販売手法は、ユーザーにとって最新の端末を無料、もしくはそれに近い料金で手に入れられるという大きなメリットをもたらしている。… 続きを読む