現在主流のLTEやLTE-Advancedに続く、次世代のモバイル通信方式として標準化が進められている「5G」。10Gbpsの通信速度や、IoT(Internet of Things/さまざまなモノをインターネットに接続、制御する仕組みのこと)の普及に向け現在の100倍の接続数を目指すなど、一層の進化を遂げようとしている5Gだが、実現に至るには課題も少なからずあるようだ。
業界内で注目度が高まっている「5G」とは
現在、多くの人が利用しているスマートフォンは、LTEもしくはLTE-Advancedに対応している。最近では、従来のものよりも高音質な音声通話を実現する「VoLTE」が利用できる、LTE対応のフィーチャーフォン(編集注・いわゆる「ガラケー」のこと)も増加傾向にあり、多くの端末がLTEやLTE-Advanced対応のものとなっている。
それだけモバイルの世界で最も使われているLTEやLTE-Advancedといった通信方式は、モバイル通信の「第4世代」という意味を示す「4G」という名称で呼ばれることが多い。しかし厳密にいうなら4Gの対象となるのはLTE-Advancedのみであり、LTEは4Gに限りなく近い「3.9G」の通信方式なのだが、商業的にはどちらも一括りで「4G」と呼ばれることが多いようだ。
その4Gに続く通信方式として、現在標準化が進められているのが「5G」、つまりLTE-Advancedの次の世代となる、「第5世代」の通信方式である。5Gに対しては現在、世界中の通信機器ベンダーや通信事業者などが高い関心を寄せており、今年2月に開催された世界最大級の携帯電話関連見本市「Mobile World Congress 2016」でも、5Gは大きなテーマとして注目されていた。
しかしながら日本でNTTドコモがLTEによる通信サービス「Xi(クロッシィ)」を開始してから約6年、auがLTE-Advancedの要素技術である、2つ以上の異なる周波数帯の電波を束ねて高速化する「キャリアアグリゲーション」を採用してから約2年しか経過していない状況だ。フィーチャーフォンユーザーに至っては、現在も4Gの前の方式である「3G」の通信方式を使っていることが多いだろう。

それだけに、次の世代の通信方式がどのようなものになり、何ができるようになるのかピンと来ない人も多いかもしれない。では実際のところ、5Gではどのような性能を目指しており、それによって何が実現できると見られているのだろうか。
10Gbpsの通信速度を実現、IoT時代にも対応
5Gはまだ、携帯電話の通信方式の標準化団体「3GPP」によって実現に向けた標準化作業が進められている最中である。それゆえまだ定義が曖昧な部分もあるのだが、5Gの標準化に力を入れているNTTドコモが目指す目標性能を見ると、大きく5つの要素を実現するとしている。
1つ目は通信速度の高速化だ。理論値でLTEの100倍を超える高速通信、つまり大体10Gbpsの通信速度を実現するとしている。2つ目は… 続きを読む