フランスの経営大学院INSEADは1月20日、「世界人材競争力ランキング(原文:Global Talent Competitiveness Index)」を発表した。
このランキングは、世界93カ国の「人材が能力を発揮できる環境」、「人材にとっての魅力度」、「人材の成長環境」などの要素を総合評価して、国の人材競争力を順位付けしている。
ランキングのアドバイザリーボードには一橋大学名誉教授で、過去には慶應大学教授などを歴任した経済学者の石倉洋子氏が参加している。
さて、日本の人材競争力は世界何位なのか、早速見ていきたい。
日本の人材競争力は世界何位?
日本は先進国で教育水準も高く、ビジネス環境も整っていることを考慮すると、トップ10には入っているのではないかと考えた人は多いのではないだろうか。残念ながら日本はトップ10に入っていない。
1位はスイス。このシリーズで前回紹介した「世界技術革新力ランキング」でも1位だった国だ。2位はアジアで唯一トップ10入りとなったシンガポール、3位はルクセンブルクとなった。
スイス、シンガポール、ルクセンブルクといずれも国土が狭く、人口が少ない小国だ。しかし、2013年の1人当たり名目GDP(IMF調べ)では、スイス4位(8万1,276米ドル)、シンガポール8位(5万5,182米ドル)、ルクセンブルク1位(11万2,473米ドル)と経済的に豊かな国であることがうかがえる。
4~10位は、米国、カナダ、スウェーデン、英国、デンマーク、オーストラリア、アイルランドと、北米と欧州勢が大半を占めた。
さて気になる日本の順位だが、20位とあまり振るわなかった。ただし、アジア勢でトップ20に入ったのはシンガポールと日本のみなので、健闘したともいえる。なおこの人材競争力ランキングを作成したINSEADは、前回紹介した世界技術革新力ランキングの共同作成もしており、そのためこれら2つのランキングの評価方法は似ている。
INSEADは国の人材競争力を「人材が能力を発揮できる環境」「人材にとっての魅力度」、「人材の成長環境」、「人材維持」、「労働と職業」、「グローバル・ナレッジ」という6つの要素に分解している。各要素はさらに細かい下部要素で構成されている。下部要素別でも順位付けされ、それらを総合して全体の順位が算出される仕組みとなっている。
日本の各要素のランキングは「人材が能力を発揮できる環境」が13位、「人材にとっての魅力度」が54位、「人材の成長環境」が27位、「人材維持」が11位、「労働と職業」8位、「グローバル・ナレッジ」が17位と、「人材にとっての魅力度」が全体を押し下げていることが分かる。
日本の「人材にとっての魅力度」は何が問題か?
では、日本の順位を下げている要因である「人材にとっての魅力度」とは具体的に何か、詳細をみてみよう。… 続きを読む… 続きを読む